去年の平成13年の4月から【かかりつけ歯科医】という新規事項が、医療保険に加わりました。
この【かかりつけ歯科医】とは、一口で言うと、病気(歯科疾患)の説明とその治療法の選択,治療日程などの患者さん自身のその時の情報を、“見て解る方法+後に残るもの”をもって、診察を受けた歯科医師本人から、提供させることができる患者さんの新たな権利とも言えるものです。
もちろん、以前からも初診で歯医者さんへ行くと、治療してほしい病気についての説明はあったと思います。
例えば
歯科医師:「○○○の病状だから、○○○の治療をしましょう。」
患者さん:「お願いします。お任せします。」
とか
患者さん:「○○がとれたから、つめてくれ。」
歯科医師:「取りあえず、つめておきます。」
などと言ったやり取りが当たり前でした。
しかし、この様なやり取りには、歯科治療内容などについて患者さんと歯科医師との捉え方に、後々「言った。言わない。」「治療内容が希望とかけ離れている。」など、くい違いが生じるといったコミュニケーションの不備がつきものでした。
例えば
患者さん:「つめてもらった所が痛くなった。」
歯科医師:「つめてくれと言われたので、つめただけ。」
治療の前に「病状や治療についての説明と治療の方法についての選択と同意」を互いに確認し合うことは、当たり前のようなことですが、以前ではついつい面倒と思われるのでしょうか、歯科医師も患者さんもなおざりな傾向であったことは否めない事実でした。
そこで、歯科医師と患者さんとが、互いに安心してつき合える為の合理的な方法として制度化されたものが、この【かかりつけ歯科医】です。
【かかりつけ歯科医】は、医療コミュニケーションの一歩前進したものと確信しています。
患者の皆さんは、この新制度を大いに活用されてください。新しい歯科医院へ初診で行かれた際には、お確かめになってみて下さい。大事なことです。
と申していますが、実は、肝心の歯科医院での実施の広まりが、まだまだ足りない状況なんです。その理由は、
1)歯科医師が古い体質から変革する事に不慣れであること。
2)【かかりつけ歯科医】初診の対応が、今だに面倒と感じていること。
3)コンピューターを苦手にされている歯科医師が、まだまだ多いこと。
4)手間賃が見合わないと考え、敢えて行わない方がいること。
等です。
情報開示の波はけっして凪る事はないでしょうから、徐々にかもしれませんが、【かかりつけ歯科医】初診を行う歯科医院は増えてくることでしょう。少し時間を要すでしょうが、皆さんが悲観されることはないと思います。とにもかくにも【かかりつけ歯科医】の初診を積極的にお受けなさることは、新しい知恵です。お役立て下さい。
あらためて説明します。
【かかりつけ歯科医】とは、患者さん自身の病気の状態とその病気への対処の仕方や治療の進め方などを、目で見て解る方法を用いて、患者さん自身もしくはその家族の方へ、その病気の現状をお知らせして、その治療について納得を頂くことを目的としたものです。
早く治療をしてもらって、早く治療を終えたい気持ちは解ります。何度も通うのは好まないのも解ります。でも、最初が肝心です。
今週は虫歯予防週間です。
【かかりつけ歯科医】初診は歯の人間ドックとしても活用できます。
この機に【かかりつけ歯科医】初診を、しっかりお受けなさることをお薦めします。
“参考”
厚生労働省ホームページ参照
【かかりつけ歯科医】について
http://www.mhlw.go.jp/cgi-bin/ccdmsrch?/home/www/ccddic/mhlwj
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