5.10.2001

No.0095

歯の栄養

 生まれたばかりの赤ちゃんには、まだ歯は生えていませんが、いったい歯はいつごろ からどのようにしてつくられるのでしょうか?

 歯は通常、乳歯で生後6ヶ月ごろから、永久歯で5〜6才ころから生え始めます。胎児期(胎生7週頃から)に、まず乳歯のもとになる芽(歯胚)ができはじめ、やがて少しずつかたく(石灰化)なり、生える準備を始めます。生まれる頃にはもう、歯ぐきのなかでほとんどが完成しているという状態です。また永久歯も、早いものは妊娠5ヶ月ごろから芽をだし、乳歯の下で盛んに発育し、乳児期にはほぼ完成します。この歯胚というものは歯のもととなる小さな細胞のことで、生まれてからの歯の数などを決めるたいせつなものです。
 また、生えるえてくる歯が本質的に強いか弱いかは、この時期(歯ができるまでの間)に決まるといわれています。つまり、強い歯をつくるためには、妊娠中、及び永久歯においては、誕生後の乳幼児への栄養補給、がとても大切になるのです。

 歯の形成に特に必要とされる栄養素を以下にあげてみます。

 タンパク質・・・赤ちゃんの筋肉や血液、脳細胞のほかに歯胚の材料となり、
          歯にカルシウムが定着するのを助けます。
          歯胚がつくられる妊娠6〜10週ころの初期にとくに必要。

 ビタミンA・・・歯のエナメル質の土台を作り、口の中の粘膜を強化します。
         妊娠12〜24週ころにとくに必要。

 ビタミンC・・・歯の象牙質の土台を作ります。妊娠12〜24週ころにとくに必要。

 カルシウム・・・歯胚をかたく石灰化させ歯をつくるもとになります。
          リンカルシウムは不足しがちなので、平常の1.5倍の量
          (1日の所要量として900r)を摂りましょう。
           両者(カルシウムとリン)の比率(バランス)も適正に!
          妊娠4〜6ヶ月ころにとくに必要。

  ビタミンD・・・カルシウムとリンの共同吸収を助け、石灰化を調整します。

 歯は、体の一部なので基本的には、バランスのとれた栄養をとること(偏りのない食生活)がなにより大切です。良質のタンパク質、カルシウム、鉄、ビタミンなど量より質です。1回の食事でこれらの栄養素を過不足なくとることは、なかなかむずかしいことなのですが、妊娠中に食欲が出ないと思う日があっても、出来るだけ1日3回きちんとした食事をすることを心がけましょう。
 また、出産後において、乳児の間は母乳やミルクでほぼ完全な栄養をとることができますが(特に母乳には最高の栄養がふくまれています)、離乳食から幼児期の食事はお母さんの腕にかかっています。

 一生、歯で悩まないためにもこの時期のお母さんの役割は非常に大きいのです。頑張って下さい、お母さん!



澤田先生

 

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