4.5.2001

No.0090

クローン歯

 最近『クローン羊だとかクローン牛の牛肉』などという話題を、テレビのニュースなどでよく耳にするようになってきました。ですが、「クローン」の意味をご存じですか?。
 「クローン」とは、ギリシャ語で「小枝」と言う意味で、日本語的に解釈すれば「株分け」と言う意味です。そこから、バイオテクノロジー(生物科学)での次のようなことを「クローン・・・」と表現されているのです。

 それは、“1個の細胞又は生物から無性生殖的(雄雌の交尾交配が無く生殖が行われること)に増殖した細胞の一群のこと。又、遺伝子組成が完全に等しい遺伝子遺伝子細胞又は生物の集団のこと”を言います。遺伝子とは、生物の形や質を決めるもので、細胞の核の中にしまわれているものです。22対44体の【常染色体】と1対2本の【性染色体】が核の中に存在します。これが、今話題の《DNA》というものです。生体には体重10kgあたり10兆個の細胞があると言われ、その細胞の1つ1つに核があり、その核の中にもれなくDNAが収納されています。
 人や動物(ほとんどの生物)の成長は、細胞の分裂によって行われます。この原理の応用により、全く同じ遺伝情報を持つ物を人工的に作り出すことを実現したのがクローン技術と言われているものなのです。

 クローン技術の応用についての無秩序な研究および実用は、国際的な倫理的規定に基づき自主的制約を持つことでコンセンサスがなされています。
 しかし、生体そのものではなくその一部(組織や器官および臓器)のクローン技術の実用化は秩序ある対応として認められる傾向にあります。

 然るに、歯科医療の分野へのクローン技術の応用はどのような物となるのでしょう。 むし歯になってしまうとキーンといったあの機械で削られゴリゴリと穿られグリグリと詰められといった治療はもう必要なくなります。抜けた歯の後に合わない入れ歯を入れさせられ、満足においしい物も食べられないといったことも無くなります。
 「痛くなったら、一時的に痛みを押さえてもらい、自分用の『クローン歯』を作ってもらい悪い歯と、まるで機械の部品交換のように簡単に交換してもらって、治療は終わり。」といった具合になることでしょう。

 『クローン歯』が実現し、実要されるようになってくれば、現在一般的に行われている歯科治療のほとんどが不要になってくる時代が近い将来必ずやって来るに間違いないと思います。早くそうなればいいですね。



荻野先生

 

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