3.29.2001

No.0089

                    ふてい しゅうそ
『不定愁訴』って何?

 近年、私の歯科医院にも、「首筋が重い、肩がこっている」など、一見直接的には歯の病気に関係が無いような症状を訴えてこられる方々がいらっしゃいます。
 コラムをご覧の皆さんの中に 『不定愁訴』という言葉を一度は聞いたことがあると思いますが、「病気とまではいかないが調子が悪い」という様々な【自覚症状】、これを一般に『不定愁訴』といいます。この『不定愁訴』は、実は放っておくと大変な事態を招きかねないこともある、意外と厄介なものなのです。

 『不定愁訴』には実に百種類以上の症状があるといわれています。肩・首筋・背中のこりや痛み・不眠や寝つきが悪い・目が疲れる・頭が重い、痛い・耳鳴りがする・体がだるい・腰が痛い・冷え性など、さまざまな症状として表われてくるのです。これらの『不定愁訴』症候群はいずれも直接的な原因が不明とされているもので、最近では高齢者だけでなく、若者や子供にも多く見られるようになってきています。
 特に日本人特有の『不定愁訴』といわれる肩こりは、経験したことのない人を探すのに苦労するほど多い症状だけに、慢性的に苦しめられている人も数多いものです。皆さんのなかにも身に覚えのある方々がたくさんいらっしゃると思います。
 ところが、それだけ多くの人が苦しめられているにもかかわらず、肩こりなどは病気のなかには入らないというのが一般的の意識で、肩こりを治すために徹底的に治療を受けているという人もあまり見当たりません。しかし、肩こりを見くびっていると、大変なことになってしまう場合もあるのです。単なる肩こりと思っていたものも、それが原因で血管に異常を来し、高血圧を誘引し、ひいては内臓にまで悪影響を及ぼすことだってあり得るからです。
 原因不明とされてきたこれらの『不定愁訴』は、これまで総括的にストレスによって起こる症状として説明されてきました。しかし、現代社会ではストレスとは切っても切り離せない関係にあり、そのまま我慢して、一生つき合っていくしかないとあきらめられてきたものばかりです。こんなに多くの人がこんなに長い間苦しめられてきたにもかかわらず,年齢のせいで、「持病もち」という言葉に集約されて、ほうっておかれ、根本的な原因追及と対策が立てられることなく見過ごされてきました。
 ところが、本当は長い間ほっておかれた『不定愁訴』こそ、怖いものはありません。これが知らず知らずその勢力を拡大し、高血圧、緑内障、糖尿病、痔、自律神経失調症、心臓病などの重大な慢性病へとつながっていく、大きな原因となっていることが多いからです。「自分は大丈夫」と過信していませんか?たかが『不定愁訴』と、みくびってはいけません。
 『不定愁訴』で死亡したという例こそありませんが、神経系統の異常が発生し、睡眠に障害がでて眠れなくなり、悪い夢にうなされる日々が続き、記憶力も低下し常に焦りや意欲低下を感じる、そしてついには、うつ病になってしまうことだってあり得るのです。慢性病を予防する意味でも、小さな症状の『不定愁訴』を根治する必要があるということを、まず認識しなければいけないと思います。

 噛み合わせを整えたら「肩こりが改善された」「アレルギー性鼻炎がよくなってきた」「腰痛が軽くなった」・・・・。などということがよくあることです。
 一度皆さんも噛み合わせをチェックしてみてはいかがでしょうか?



野中先生

 

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