12.28.2000

No.0076

怒り顔の歯医者の治療は効かない!?

 私事で恐縮なんですが、つい最近、大変実感させられたお話です。
 ある日、初診で来られた4歳ほどの男の子の患者さんへ、いざ治療を始めようとすると、急にその子が「ママ〜!このおじさん恐いよう〜!」と大きな声で泣き出してしまいました。結局、その日の治療はできず終いで、後日やり直すことで帰って行かれました。
 私が、手洗いの壁に掛けてある鏡を何気なく見てみると、そこには『眉間にシワを寄せ怒ったように見える顔』がありました。振り返ると、受付の女性が別の患者さんへ、「すみません。先生の声が低くて、ちょっと怒っているように聞こえるかもしれませんね。でも、先生は一所懸命に治療に取り組んでいるので、ついそうなってしまうんです。決して、怒ってなんかいないんですよ。」と小声で話しているのが聞こえてきました。
 “そうか、僕の顔は確かに一見恐そうに見られてしまうかもしれないな〜。その上、口調も恐そうに聞こえていたんだな〜。”、40才を越えて今更ではありますが、それから数日少し落ち込んでいました。

 2〜3日重苦しい気持ちで過ごしていたある日、昔読んだことにある本の言葉が頭に浮かんできました。それは・・・
 フランスの思想家モンテーニュが『しかめっ面の医者の治療が、かつて功を奏した試しがない。』と語った言葉でした。
 “そうだ、仕事だからと言って力まず、肩の力を抜いて、患者さんには思いっきりニコニコした顔で接してみよう。”と、心に決めました。

 それからの診療では、特に子供の患者さんへは「ハイ!コンニチハ!今日もはりきっていこう!」と声をかけ、心配顔のお母さんにも「ニコニコが一番ですね!」とお話しすると、安心顔に変わられていました。
 治療自体も想像以上にスムーズに進み、私自身でも驚くほどでした。

 歯医者がニコニコすると、お母さんも子供もニコニコして、その子供は『しっかり頑張ることができるようになるんだ』ということが解りました。

 後日談になりますが、恐がって治療を拒んだあの子も、もうすっかり治って元気で検診に来られています。



梶山先生

 

BACK