12.7.2000

No.0073

乳歯について

 皆さんは『乳歯のでき始め』って、いつぐらいからかご存じですか?。一般に、妊娠2~3ヶ月あたり、つまり胎生21週目ごろから、乳歯は形成され始めるのです。赤ちゃんの歯は、おなかの中にいる時からお母さんから栄養をもらって少しずつ作られているんです。だから、私たち歯科医師はお母さんになられる方々へお願いしたいんです。「お母さん!赤ちゃんの歯の為にも妊娠中の【栄養のバランス】は、とっても大切ですよ。自覚と注意を忘れないで下さいね。!」現代では、栄養不足による母体の栄養不良ということはめったにありません。しかし、飽食の時代と言われるが故に、食べ過ぎや偏食による栄養のバランスの崩れを注意しなければいけません。「二人分食べなければ」と言って食事を摂りすぎたりするのは、決して良いことではありません。
 赤ちゃんの歯に対する注意は赤ちゃんの誕生で終わりではありません。油断しないで下さい。乳歯の形成は誕生後も当然続いているんです。
 生後半年ぐらいで歯肉を破って最初の乳歯がいよいよ生えてきます。記念すべき最初の乳歯は下の前歯ですが、喜んでばかりはいられません。これから歯の清掃が始まるのです。最初は歯ブラシを使わずガーゼなどで拭いてあげてください。
 8ヶ月くらいになりますと上の前歯が生えてきますので、この頃から歯ブラシを慣れさせていくのが良いです。
 1歳ごろになりますと、前歯が上下合わせて8本生え揃い、下の奥歯が生え出してくる頃ですので、歯ブラシは奥歯からしっかり目で確認しながら不用意に歯茎を傷つけないように子供に不快感を与えないように正確におこないます。
 1歳6ヶ月頃になりますと、上の奥歯も生えてくるので、咀嚼力も、どんどんついてくる時期ですから歯ごたえのある物を与えて噛む訓練の始まりになります。
 そして2歳6ヶ月頃に乳歯は上下合わせて20本になり乳歯列の完成になります。この時期の子供は自我が目覚めだし歯ブラシも自分でしたがるので、一緒に歯ブラシをして歯ブラシの動機付けをしていくのです。
 乳歯を良い状態にしておくことは、非常に大切なことなのです。決して乳歯は永久歯が生えるまでの仮歯ではないのです。しっかり噛むことによって脳を活性化し、また顎や顔の形までも影響を受けてしまいます。
 乳歯は、永久歯が生えるための下地を作ってくれる案内役なんです。乳歯が虫歯で早期に喪失してしまうと、永久歯は路頭に迷い正しい場所を見失ってしまうのです。つまり歯並びに大いに影響しまい、永久歯列が歪んでしまう原因になるのです。特に乳歯の奥歯は非常に大切な歯ですので特に虫歯にしないように注意を払うべきです。

 このコラムをお子さんの楽しい食生活と生涯の健康の為にお役立て下さい。



河田先生

 

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