ほとんど多くの方々は「虫歯は、歯医者で削って治すもの。」と思いこんではいませんか?。ところが、初期の虫歯の状態(程度)によっては、必ずしも削らずに治ってしまう事は可能なんです。
歯(歯茎から生えて見えている部分)の構造は二層になっており、内層は【象牙質】といい主成分は“タンパク質”でできています。そして、その外側の層は【エナメル質】といい主成分は“ハイドロキシアパタイト”という人体で最も固い物でできています。その【エナメル質】に限局した虫歯(表面が白濁した、穴のあいていないもの)であれば、実は削らずとも治せる場合があるんです。とは申しても、「何もせず、放っておいても治る」と言うわけでは決してありませんので、くれぐれも誤解の無いようにお願いします。何もしなければ、虫歯は、徐々に大きくなり、進行してしまいます。
虫歯発生の第一段階は、虫歯菌の出す酸が【エナメル質】表層の“ハイドロキシアパタイト”を分解しCa(カルシウム)を溶け出させてしまたことを指します。Ca(カルシウム)が一方的に解け出すばかりであると当然虫歯は進行を止めず悪くなるばかりです。でも、ガッカリするには早すぎますよ。人間の体は驚くほど能力に富んでいるのです。というのも、【エナメル質】は唾液中にあるカルシウムをあらためて取り込むことができるのです。
つまり、Ca(カルシウム)の溶け出す量を減らせば、相対的にカルシウムの取り込む量が増し、虫歯が治ってしまうというわけです。つまりカルシウムの溶け出す量と取り込む量のバランスで虫歯が進行したり治ったりするということなんです。
初期の虫歯なら削らなくて良いのなら、その初期の虫歯を早めに見つけなければ行けませんね。初期の虫歯は自覚症状(痛みや腫れ)が無いものです。痛みを感じてからではもう遅いですよ。どうすればその初期の虫歯を見つけられるのでしょうか?。
やはりと言いましょうか、先ず歯科医院に行って診察(検診)を受けましょう。いわゆる予防医療(予防歯科医療)を前向きに考えている歯科医師に診てもらえればベストです。運良くと言いますか運悪くと言いますか、仮に初期の虫歯を発見できたとしても、それが削らずに治るかどうかの判断は、かかった歯科医師に任せざるを得ません。闇雲に自分で判断しては良いとは言えません。なぜなら、歯科医師はその人の年齢・体質・生活等の様々な要素を考えて治療の判断をするからです。特に、《【歯磨き】に対していい加減な気持ちを持っている人》には、削らずに治すというのは無理です。もし、「歯科医師が削らずに治せる初期の虫歯があります」という診断をお受けになったならば、《【歯磨き】の大切さ》をあらためて認識され、きちんと治すために『適切な【歯磨き】の方法』の指導をお受けになり、日々気を抜くことなく『適切な【歯磨き】』を実行されなければ成りません。そうすることで、歯に付いた虫歯菌を除去し、カルシウムの溶け出す量を減らすことが出来ます。また、定期的に歯科医院でチェックしてもらいましょう。歯科医の判断で、フッ素を歯の表面に塗ることもあります。フッ素は、カルシウムの取り込みを助けてくれます。
このように、削らずに虫歯が治ることを知ると、歯もただの固い物質ではなく、体の一部であり、生きていることが分かると思います。もし、穴のあいた虫歯が、切り傷や、擦り傷のように自然に治るようなら、歯医者は、いらなくなってしまうでしょう。
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