現代の歯科医療の幹となる考え方は、事後の対応である“治療医療”から事前の対応である“予防医療”へと、大きな変換が成されてきています。中でも、虫歯に対する“予防医療”は世界的に重要な課題と考えられ、様々な形で実行されています。この虫歯予防の為に最もよく使われるのが【フッ素】(正しくはフッ素化合物)です。
さて、【フッ素】は何故に虫歯予防になるのでしょうか?
歯科医院で行われる【フッ素】を使った虫歯予防処置としては、
- 歯冠の表面に【フッ素】を塗る方法
- 微弱電流機を用いて【フッ素】を歯冠表面よりエナメル質内部へ浸透させる方法 (イオン導入法)
などがあります。
【フッ素】による虫歯予防は何も歯科医院でだけのものではなく、地域や家庭でも行うことができます。その方法は、
- うがい用【フッ素】の溶液で洗口する方法
- 【フッ素】の添加されている歯磨き剤を使用する方法
- 食べ物から【フッ素】を取り込む方法 (イモ類,豆類,野菜,果物,海草,魚介類など多くの食物に含まれています)
などが一般的でしょう。
以上の様にして、歯に取り込まれた【フッ素】は歯のエナメル質と反応して、酸に強いより強固なエナメル質へと成熟させてくれます。
しかし、ここで油断せず注意をしていて欲しいことがあります。それは、「【フッ素】は虫歯に成り難くくしてくれるのであって、絶対に虫歯に成らなくなるのでは無い。」ということです。
規則正しい食生活や,正しいブラッシングがあって初めて効果を表してくれるものなのです。又、歯科医院などで、【フッ素】の予防処置をたった1度受けたからといってその効果が永久に続くわけでもありません。やはり定期的な受診が必要不可欠なのです。
因みに、【フッ素】は成人期で使用するよりも、生えて間もない永久歯にこそ、より効果を発揮してくれます。ですから、学童期(第1大臼歯の生え始め〜第2大臼歯の生え終わりまで:小学生の期間)の対応が最も重要なのです。
因みに、歯科医院での虫歯予防には【フッ素】処置の外にも、大,小臼歯の溝をコーティングする予防充填(シーラント)といった処置もあります。又、ブラッシング指導,食事指導,生活指導,など、虫歯を予防するための様々な指導を受けることができます。
みなさんも、「歯科医院へは虫歯を治しに行くのではなく、虫歯を予防しに行くのだ。」と思って来てくだされば、きっと、『歯医者は嫌だな〜。』という感じも、なくなることと思います。
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