最近、テレビや雑誌などのマスコミで『ウェルネス(Wellness)』という言葉を、よく見かけたり耳にしたりしますが、皆さんはこの言葉の意味をご存じですか?。どんな意味なのかというと「健康,元気が良いこと,調子が良いこと,」と言ったようなものです。
ところで、「健康」を意味する言葉には、私達に馴染みの深い昔から良く使われている『ヘルス(Health)』があります。あえて『ヘルス』ではなく『ウェルネス』という言葉を、なぜ最近使うようになったのでしょう?。この二つの言葉は単に同意語なのでしょうか?。それとも、異なるニュアンスがあるのでしょうか?。真の意味はどう違うのでしょう?。
世界保健機関(WHO)の定義を見てみますと、“『ヘルス』とは、身体的・精神的ならびに社会的健全な状態である事”となっております。しかし、『ウェルネス』の定義はなされていません。健康に関する事柄を取り上げる際に、なぜに敢えて『ウェルネス』という言葉をマスコミは使っているのでしょう?。
「一体、何が違うの?。」と私は又々解らなくなってしまいます。
そこで、私は私の関わりの深い【歯科医療】を通じてこの『ウェルネス(Wellness)』と『ヘルス(Health)』の違いについて、私なりに考えてみました。
先ず、現在の【歯科医療(治療){加えて一般医療}】の実態は、《公的健康保険中心の治療》ですが、残念な事に健康保険の利く医療(治療)は、病気に成ってから始めて医療費の受給対象となります。現実の医療の実体は、〔病気に成ったことを確認してから始めて医療(治療)を受けることになり、「治療をして、その病気を治す」〕という事です。
私は『ヘルス(Health)』という意味は、この時の『回復された健康』という事ではないかと考えます。 それでは、『ウェルネス(Wellness)』とはどのような意味でしょう?
よく「健康増進に○○○を!」という宣伝文句がありますが、正にこれが『ウェルネス』ではないでしょうか。〔既に健康でありながら、なおかつ健康を維持していくこと〕です。
私は『ウェルネス(Wellness)』という意味は、『維持される健康』ということではないかと考えます。
歯科医療でいうと、「治療をしたい所は、特にないのだけれど、もしかして、虫歯はないかな?。歯肉炎は大丈夫かな?。歯石はついていないかな?。」「病気になる前に、検診をしておこう。」「病気にならないように、予防方法の指導を受けておこう。」などの口腔内の健康管理への注意が大切という事です。
私の考える歯科治療における『ウェルネス(Wellness)』は【予防歯科】と言う事です。
激動の20世紀も、もうすぐ終わりですね。 新たなる21世紀に向けて、世界の人々の健康が、『ヘルス(Health)』ではなく『ウェルネス(Wellness)』であらんと、私は願っております。
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