5.11.2000

No.0043

【山登り】や【飛行機】で『歯が痛む?』

 「【山登り】や【飛行機】と『歯痛』は関係がある。」と言うと、驚かれる方が多いかもしれませんね。山に登る前は、元気で何ともなかった人が、登っていくうちに、急に歯の痛みを訴えることがあります。運良く、鎮痛剤を持っていれば一時的には助かりますが、そうでないと大変です。又、飛行機での旅行の時に、搭乗手続に小1時間かかりやっと離陸したと思いきや、飛行機が大空に飛び出したとたん、予期せぬ歯の激痛が襲ってきたという経験、どなたかありませんか?。

 どうして、こんな事になってしまうんでしょう。

 もちろん、登山では登るにつれ、その疲れからの体の抵抗力の低下も理由ではありますが、実は、“気圧の変化”が、歯に対し大いに影響を及ぼしているのです。富士山など高山での七合目あたりでは、圧力釜を使わないと普通のご飯がうまく炊けないということを耳にしたことありませんか?。平地より気圧が低くなっており、気圧が低いと、水の沸点が下がり、したがって煮たぎらない訳です。それとは逆に、未開封の炭酸飲料ペットボトルを山の頂上で飲もうとして、口を開けたとたんに、中身のほとんどが吹き出してしまい勿体ないことされたことはありませんか?。これも、元々平地の気圧で作られたものが密封されたまま、気圧の低い所へ持って行かれることで、容器の中から外へ圧がかかっている状態を自然と生じさせてしまったことによるのです。

 1本の歯の中には歯髄の入っている『歯髄腔』なる空洞があり、その空洞は普段、平地での圧力と等しくなっています。ところが短時間に外気の気圧が下がるとその変化に対応しきれず、一時的にペットボトル状態になってしまい、その圧力が痛みを引き起こしてしまう。と言うわけです。更に、慢性の虫歯を放っていると虫歯の空洞ができ、この空洞も同じようにペットボトル状態を引き起こします。歯はとても敏感なところですから、環境条件の急激な変化にすぐ反応を示します。登山などは環境の変化をまだ肌で感じられますが、突然の歯痛が起こる環境になるのが、飛行機に乗ったときです。わずかな気圧の変化が虫歯の血管にひびいて、急に痛み出すのです。気圧のチョットした変化などたいした事ではないと思いがちですけれど、私たちが考えているよりはるかに重大な影響を、歯に与えているのです。

 行楽の季節です。

 旅先で歯医者探しにならないように、心当たりのある人は、旅行の前(少なくとも2週間前には・・・)の歯のチェックを忘れないでください。楽しいはずの旅行が台無しになってしまいますよ!ご用心!


深井先生

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