4.6.2000

No.0038

顎関節症について

 皆さんは『顎関節症』という言葉を聞いたことがありますか?。『顎関節症』とは、「口の開け閉めに音がする」「口を開けると痛い」「口が開けにくい」などを主症状とする総括的な診断名のことです。

 先日、友人のタマさんがそのようなことで診療所にやってきました。彼は、顎を何かにぶつけたとか特に思い当たるふしがなく、数日前から口を開ける時に左の顎に違和感を感じ、それが昨日から痛みも出始め口も開けにくくなったそうです。 『顎関節症』は病気の原因を特定するのは、大変難しいことです。考えられる原因は、歯のかみ合わせであったり、顎の関節の異常、顎を動かす筋肉の異常であったり、悪癖の影響であったり、それらの複合したものであったりと、我々一般開業医を悩ます症例です。またストレスでなるとも言われます。タマさんにその話をすると、あごに違和感を覚えた時のちょっと前に非常にいやなやつと話していてかなり歯をかみ締めていたらしいのです。そんなことでバランスが崩れて口の開け閉めの筋肉が痛んだのかもしれません。

 いずれにしても原因がわからないと治療自体も難しくなります。そういう場合は対症療法と言って痛みを止める薬や、筋肉の緊張を和らげるスプリントと言う装置を装着したりして様子を見ます。しかしながらタマさんのあごの痛みは2週間たってもあまり変わりません。私は「大学病院でも紹介して診てもらおうかな」と思っている時に、又タマさんが来ました。にこにこしています。昨日からあごが元のようになったそうです。それも、花粉症でくしゃみが出て、立て続けに大きなくしゃみを3回したらなんとなく直ったそうです。歯医者としたらみもふたもありませんが、まあ良かったと言うところです。

 でも、「何故左のあごが痛くなったのか?。」タマさんの口の中はほとんど治療されていましたが、左上のかぶせてあったものが取れたまま長く放置されていました。もしかすれば、その様なことが長い間、顎全体に影響を与えていて、顎の機能のバランスを崩し、そこに“ストレス”がきっかけとなって発病したのかもしれません。

 いずれにせよ、治療しなければならないところは、治療しておいたほうが良いということです。


下村先生

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