3.23.2000

No.0036

“インプラント治療”について

 そもそも“インプラント治療”とは、整形外科や一般外科,脳外科など医療全般に於いて行われている治療方法の一つです。『インプラント』とは、日本語で『植樹』と訳せますが、医学的には人工臓器(例えば人工関節,等),人工組織(例えば人工皮膚,人工骨,等)又は人工器官(例えば人工心臓,人工血管,等),等を、人間の体内外に取り付け、機能の回復を行う治療のことなんです。広く言うと臓器移植の一種なんです。現代医療に於いては今や広く応用されているものです。

 使用される素材は、基本的に体に対し無害であり無刺激なもので、更に体になじむ性質のものを使用されています。今のところ、天然臓器の移植に比べ人工臓器の移植は、移植の最大の問題点である拒絶反応などの免疫的問題や感染症の問題について心配の度合いが低いとされています。

 そこで、歯科医療に於いても“インプラント治療”があるのを、皆さんは御存じでしょうか?。歯科で行うインプラント治療とは、歯が無くなってしまった部分に新しく、第2の永久歯とも言える人工の歯を植え、固定式の入れ歯(ブリッジ)を入れることによって、元の自分の歯と同じように食べ物を噛めるようにする治療方法です。「どうしても取り外し式の入れ歯が嫌だなあ」とおっしゃる患者さんにとっては一つの選択肢であることは間違いありません。

 しかし、歯科用インプラント治療は、必ずしも都合の良いことばかりではありません。インプラント材そのものは、虫歯になりませんが歯磨きが不十分だと歯垢が着いたままになってしまい、天然歯と同様に歯槽膿漏の病気を起こしてしまいます。処置後のケアーがちゃんとされていないと、取り返しの着かないことになってしまいます。歯科用インプラント治療を望まれる患者さんは、治療を行う前の歯科医師との十分な話し合いを怠らないことが大事になってきます。処置後のケアーについて自身を持てない患者さんは、例え適応症の範囲にあってもお勧めしません。

 しっかりインフォームドコンセントを行える患者さんであることが前提で、以下の条件を満たしていれば歯科用インプラント治療は可能になってきます。 まず、年齢は16〜18歳以上60〜70歳(骨の状態が良好が条件)の間であれば可能です。健康保険の適用外なので高額な治療費を用意できる方。歯科医師の指導に基づいて行動のできる方。等々です。

 最後に一言言えることは、歯科用インプラント治療は慎重な吟味を忘れないことです。


梶山先生

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