3.2.2000

No.0033

レーザー治療について

 21世紀を迎えた今、医療の中でこれから一番発展する分野はレーザー治療であると私は考えています。医療現場で夢をかなえるレーザーをできる限り皆さんに理解してもらい、正しい認識を持ってもらえるようにお話を進めていきたいと思います。さて、そもそもレーザーって何でしょう?

 Laser(レーザー)とは、light amplification stimulated emission of radiationの各単語の頭文字を取って作られた合成語なんです。歴史を紐解くと1960年、Maimanがルビーレーザーの発信に初めて成功し、次いで翌年、JavanがHe-Ne(ヘリウム・ネオン)レーザーの発信に成功し、レーザー光の人間社会での応用の幕が開かれたわけです。そして現在では皆さんも良く知っているオーディオ機器であるレーザーディスク、レーザーカラオケ、そしてレーザー光通信など多分野において使われています。それぞれの分野で使われているレーザーは種類が違いまして、多種多様なんですね。ですから全く違う性質を持ったレーザーがあるということを理解していただきたいと思います。

 反面、レーザー光の共通する特性も幾つかあります。一番の特徴は、レーザー光を発した時目標物まで距離があっても光が散乱することなく的確に当てることができるということです。つまり発したエネルギーの強さが弱まることなく目標物にあたるということです。ですから、使い方によっては非常に危険なものにもなってしまうわけですが、十分な理解のもと正しく使えば非常に有効な効果をもたらしてくれるのです。

 さて、歯科においては“どの様なレーザーを使い”、“何の為に使っている”のでしょう?。次はそれをお話し致します。 歯科におけるレーザーは、ネオジウムヤグレーザー、エルビウムヤグレーザー、炭酸ガスレーザー、アルゴンレーザー、半導体レーザー等をあげることができます。

 使用目的は、歯肉を切ったり(切開)、歯を硬くしたり(石灰化)、痛みをやわらげたり〈鎮痛〉など、実に多彩です。更に詳しく申しますと、歯肉・粘膜での処置が一番多用されており、特に歯周病の治療に使われています。歯周病に罹患しますと、歯と歯肉の間に隙間ができ〈歯周ポケット〉その隙間に細菌が侵入し炎症を引き起こすわけですが、その隙間にファイバーを通してレーザー光を照射し、殺菌・消毒、掻爬を行います。もちろん麻酔はしないで処置することが可能です。

 次に歯にレーザーを照射した場合ですが、歯の表面の耐酸性を向上させます〈虫歯菌に歯が溶けにくくなる〉。ですから定期的に歯にレーザーを照射することによって、虫歯を予防することができるわけです。まだまだ用途はたくさんありますし、とにかく応用範囲が広いわけです。

 現在医科においては、レーザーはかなり普及してきており、特に外科・眼科・皮膚科などでは必需品となっています。歯科ではまだまだ導入されて歴史が浅く機械も高価で医科ほど普及していませんが、どんどん研究が進み、歯医者さんのイメージを大きく変えてしまうアイテムとして普及 していくことでしょう。


河田先生

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