2.3.2000

No.0029

キシリトールについて

 「キシリトール入りのガムを咬んでいれば虫歯にならないんでしょ?」たまにこんな質問をしてくる患者さんがいます。確かにテレビや雑誌等で虫歯ができなくなると錯覚を起こさせるようなTVコマーシャルをみかけます。

 キシリトールは、数多くの代用甘味料の中で唯一虫歯の抑制効果が認められている甘味料です。少量ですが多くの野菜や果物にも含まれています。

 しかし、虫歯というのは歯・細菌・食事の3要素に時間という要素が加わってできるのです。歯を強くするには、フッ素を塗ったりシーラントをつめたりします。虫歯を作る細菌を減らすには、ブラッシングなどによるプラークコントロールが重要になります。食事に関しては、規則正しい食生活や砂糖の制限、キシリトールなどの甘味料への代用がそれにあたります。

 つまり、歯を磨く・フッ素を塗る・規則正しい食生活を送る・定期的に歯科検診を受ける・・・等がきちんと行われている上でキシリトールを用いることがより効果的となるのです。

 高濃度のキシリトール含有粒ガムを1日5回摂ることが最も効果的と言われています。キシリトールガムがどのように虫歯の発生を抑制するのかと言うと次のように考えられています。

  1. 口の中で発酵しないので、酸により歯が溶かされる危険がない。
  2. 虫歯の原因となる細菌(ミュータンス菌)に対し静菌的に働き、歯の表面に付きづらくし感染を減らす。
  3. プラークの量が減ることにより、ブラッシングの効果を上げる。
  4. 唾液の分泌促進作用により、唾液中に含まれる防御因子が高められる。
  5. 唾液中のカルシウムと結びつき歯の表面を守る。

 キシリトールを虫歯予防にと思う方は、3ヶ月以上続けて下さい。本当に効果が上がるのは、それ以上経過してからです。


佐々木先生

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