1.20.2000

No.0027

「噛む」の効用

 前回のコラム(10/28 '99掲載 No.0015)で、『“噛む”のメカニズム』についてお話しました。今回は、『“噛む”ことの全身的効用』の内容についてお話してみたいと思います。

 この効用はおおまかに分けて5つあるといわれています。

 1)内蔵の負担を減らす

 これは、歯・顎が丈夫なら食べ物をより細かく噛み砕く事が出来れば、当然胃腸の負担が軽くなります。

 2)消化液の分泌を高める

 食事において、味覚、臭覚、そして噛む事が刺激となり胃酸の45%膵液の20%がすでに分泌されると言われています。食べ物が、胃に届く前にこの様な状況になっていれば、消化・吸収が良くなるわけです。

 3)唾液の分泌を高める

 唾液には、ホルモン、カルシウム、フッ素等色々な体にとって役に立つものが多く含まれ、それぞれ消化作用・歯の保護作用・殺菌作用等の作用が有ります。

 4)肥満を防止する

 よく噛むことは、肥満の防止につながります。これは噛むことにより血糖値の上昇が早い時期に高まり、満腹中枢を刺激して満腹感が早く感じられるようになります。

 5)顔の形・表情形成に関与をする

 子供の頃から、よく噛む癖をつけておくことが大切です。頭の骨や筋肉が大きく成長し始める4才頃からが特に重要です。噛みごたえの有る食べ物を出来るだけ多く食べさせてあげることが必要になります。そうする事で、バランスのとれた顔の形や表情を作る為の筋肉が出来てくるのです。

 この様に、良く噛むことで色々な効果が有ることが分かって頂けたと思います。とても身近な問題ですので、自分で時間のある時にでも口の中を見てみて下さい。小さな異常でも全身にとっては、大きな影響を持つのです。

 皆さんもお口の中に少し興味をお待ちになって、健康な体を維持しましょう。


小田先生

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