皆さんの中で、大晦日や元日にかぎって、急に歯の具合が悪くなって困ったことがある人はいませんか?。私は“自身の経験”はありませんが、私の医院では毎年2〜3人程の急患の方をやむなくお受けし、除夜の鐘を聞きながら入れ歯の修理や歯痛を止める治療をしております。患者の方は皆さん必ず「前兆があれば早めに来院していたのですが、突然のことですみません。」などと異口同音におっしゃられます。又、「もし、自宅でできる範囲の応急処置を知っておけば、少し我慢して年明けの診療日にうかがったのですが・・・。」ともおっしゃられるのです
そこで、これはコラムに掲載して多くの方に役立ってもらおうと思い、今回は『お家で、できる歯科応急処置』についてまとめてみました。以下の記述がお役に立てれば幸いと考えております。
1)冷たいもので1〜2秒間しみる(知覚過敏症)
- 極力、冷たいものを口に含まないようにする。
- 歯磨きの時のうがいの水はぬるま湯を用いる。
- 知覚過敏用の歯磨き剤を用いる。
2)熱いものがしみる(歯髄神経の炎症)
3)咀嚼すると痛む(虫歯の穴あき)
- 痛みの感じる歯の側で食物を噛まない。
- 穴に詰まった食べかすをハブラシなどで取り除き、しっかり歯磨きをする。
- 市販の薬剤を用いて応急処置をする。(今時水,正露丸など)
4)歯ぐきが腫れて痛い
- 歯槽膿漏か歯根の先が腐っていることが疑われます。急激に腫れが大きくなってきている場合は、自分では対処できません。休日救急歯科診療所へ急がれることが一番です。腫れが鈍い場合は、冷水(10℃前後)に浸したタオルで冷やすのが効果的です。体を温めると痛み(ズキズキ)が増すことがあります。飲酒は止して下さい。喫煙も歯肉粘膜を刺激しますので止めた方がよいです。
5)痛みの応急的解消法(痛みを和らげるツボ《合谷》をもむ)
- 歯の痛い側の手の親指と人差し指の付け根にあるツボが《合谷》です。このツボを指圧して下さい。5秒間/回を5〜10回ほど、少し痛いくらいの加圧で行ってみて下さい。
6)入れ歯が歯ぐきにあたって痛い
- 通常の様な一日中の装着を止め、必要のない時は外しておきましょう。食事の際には装着を要しますが、入れ歯のあたる場所にワセリンや市販の入れ歯安定剤を介在させて、一時しのぎをされてみて下さい。
7)差し歯がとれた
- 慌てて瞬間接着剤などで着け治したりするのは絶対に止めて下さい。歯科医院での本来の修理処置ができなくなってしまいます。食指中は外しておき、面談においてはそっと着けておくことの程度なら大丈夫です。少しの脱脂綿を介在させて着けると意外と着くものです。どうしても着きの悪い場合は、外しっぱなしにしておいて下さい。あいている穴にはしっかり脱脂綿で塞いでおいて下さい。
8)入れ歯が割れた
- 無理に入れて使っていると取り返しが着かないくらいもっと壊れてしまいます。噛む力は、想像以上にあると思って下さい。
とにかく、早めの受診に優ものはありませんが、もし休みの最中に具合を悪くしたなら、やはり休日救急歯科診療所へ行かれることが最善と思います。
皆様の楽しい年末年始を心よりお祈り申し上げております。 |