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4.10.2003

No.0190


睡眠時無呼吸症候群と歯科

 最近、睡眠障害という言葉をニュースや健康番組でよく耳にします。それに関連した事件で『新幹線の運転手が運転中に居眠りをしていた為に、適切な停車ができなかった』というのがありました。「一歩間違えれば、大事故になるかもしれない!!」と大問題になりました。事故調査の結果、原因は睡眠障害である【睡眠時無呼吸症候群】というものでした。因みに、当の運転手の体重は100kg超程の肥満体であったそうです。

 【睡眠時無呼吸症候群】という病気は、日本では最近まで広く知られていませんでした。しかし、欧米ではかなり前より国が率先して取り組んできた病気です。何故、欧米ではそれ程この病気を重要視しているのでしょう?。その理由はこの病気は命にも関わる病気だからです。又、本人や周囲の人達がこの病気に気づいていないと、偏見や差別に繋がりかねない病気なのです。

 さて【睡眠時無呼吸症候群】とは如何なる病気なのでしょうか?。
 この病気の定義は【一晩(7時間の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上起こる。叉は、睡眠1時間あたりの無呼吸や低呼吸が5回以上起こる】というものです。
 私も、実は妻から指摘されて友人の耳鼻科医に相談した際に簡易的な診査方法を教えてもらいそれを実践してみた所、睡眠1時間あたり無呼吸が8回起こったことがわかりました。
 診査方法は、専門的なものは指に動脈血酸素飽和度計をつけたり、脳波を調べたりしますがご家庭で手軽に診査できるものとして先ず、家族の方に起きていてもらって無呼吸状態の時間と回数を計ってもらうか、他人に迷惑をかけたくない方は録音テープを就寝前につけて寝る方法があります。

 自身も【睡眠時無呼吸症候群】と診断し高脂血症と痛風の既往歴をもちストレスのある仕事をしているためか血圧も150/100と高く、高血圧症の病名が1つ加えられようとしていた丁度1年前に友人の耳鼻科医から「いびきの患者に装着する“スリープ スプリント”を作ってもらえないか?」という問い合わせがきたので先ずはこの病気を勉強すべく友人の耳鼻科医から文献をコピーさせてもらい自分自身にスプリントを入れてみようと思いました。
 “スリープ スプリント”という【歯科的に睡眠時無呼吸症候群を治療する方法】は耳鼻科領域のHPなどには簡単に紹介されていますが、歯科領域では未だ普及傾向にないようです。これは、医科歯科連携治療のギャップがあるからだと思います。
 私自身、この“スリープ スプリント”を昨年の4月から就寝時に装着し、目覚めがすっきりして日中、装着前は朝方必ずトイレや家族がごそごそやって1回起きたらなかなか眠ることができず寝不足のまま仕事をしていましたが、現在は朝までぐっすり寝れるようになりました。又、150/100の血圧も120/85になり、かかりつけの内科医も血圧の薬は不要だと言われほっとしました。

 【睡眠時無呼吸症候群の歯科治療】は、“スリープ スプリント”というものの装着で様々な装置がありますが、一般的には上、下あごの歯型を採り、個人にあったオーダーメイドのスプリントを装着することをお勧め致します。市販のスポーツ用マウスピースのような‘お湯で軟化させて成形する’装置もありますが、下あごをうまく上あごより前に出すような噛み方や上、下を切端で合わせることは素人ではうまくいくものではありません。
 お口の専門家である歯医者さんにお任せするのが病気改善の早道ではないでしょうか。

 普段より『いびき』がひどくて「もしかして【睡眠時無呼吸症候群】では?。」と思ってらっしゃる方は、それが原因で大きな事故や御自身の病気(高血圧症、糖尿病など)が悪化しない前に“スリープ スプリント”を作成し装着されてみてはいかがでしょう。
 但し、歯科だけの判断でなく呼吸器科、耳鼻咽喉科の診断も重要だと思います。



山本先生

 

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