高齢者でよく口が渇いて食べ物が飲み込みにくいとか舌が痛いと訴えるかたがいます。これはいわゆるドライマウス(口腔乾燥症)と言われる症状です。
原因としては、加齢による唾液腺の機能低下、口呼吸、ストレス、薬の副作用((睡眠薬、抗ヒスタミン薬、精神安定剤、利尿剤など))、他にシェーグレン症候群などがあります。シェーグレン症候群とは自己免疫疾患の一つで口腔乾燥から見つかることもあります。
症状としては、飲み込みにくい、よく噛めない、噛みにくい、口が乾燥してネバネバしたりベタベタしたり、舌が痛くなったり、傷つきやすくなったり、味がわからなくなったり、しゃべりにくくなったりします。
治療法としては、原因となっている病気があれば、それを改善する。唾液の量が減ってくると入れ歯の吸着や安定が悪くなりますので、調整するか新しくきちんとした入れ歯をつくります。唾液は、軟らかい物より硬い物を噛んだときのほうがよくでますので、食べ物も飲み込みやすくなります。合っている入れ歯でも唾液の量が少ないと吸着が悪くなってしまいます。
唾液の量は、一日に1,000cc〜1,500cc出ると言われていますが、個人差もだいぶありますので、水やお茶で水分を補給したり、人口唾液を使用します。
寝たきりの高齢者では、口腔清掃が難しいので、介助者の方がしっかりと口腔ケアを行うことです。食べ物を飲み込むためには、唾液とよく混ざっているとスムーズにいきますので、保湿のために人口唾液をスプレーしたりスポンジで水分を補ったりします。水分がないとむせたり、誤嚥したりしやすくなります。乾燥がひどい場合には、数時間おきに水分を補給します。唾液が少なくなると自浄作用が悪くなり口腔内が汚れやすくなりますので、口腔清掃は大切です。高齢者では、薬を服用している方も多くそのことが原因であれば、可能な範囲で減量します。口呼吸している場合にはとくに部屋の温度や湿度にも注意します。
QOLのためにも、生活環境や食習慣に配慮して【口腔ケア】を行うことでドライマウスを防いでいきます。
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