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2.13.2003

No.0186


LDDSを活かした治療とは?
Local Drug Delivery System(薬物局所配送療法)

 我々は風邪をひいたり、病気を患い体調を崩すと抗生物質などいろいろな薬を服用しますが、皆さんもご存知のように薬には効果が強いほど副作用が必ず大なり小なり起こります。
 例えば胃腸症状(腹痛、下痢、胃のただれ,食欲不振、嘔吐、悪心、腹部不快感等)、アレルギー症状(湿疹、皮膚の発赤、むくみ等)などが挙げられます。また複数の薬を服用する事で副作用が発現する頻度が上がります。
 ただ私たちは病気を改善させるためには薬の服用は必要充分なわけであります。
 そこで私たちは副作用を軽減させるために食後直ぐに服用するような薬を選択したり、胃薬等をいっしょに服用させたりして胃腸に負担をかけないように配慮するわけです。
 しかしここで問題になる事があるのです。それは薬による効果が期待できなくなる事があるのです。胃薬の種類によっては抗生物質の効果が半減してしまう事があります。ですから勝手に自己判断で手持ちの胃薬を服用されるのは危険なわけです。
 今書いてきたお話しは経口投与(いわゆる飲み薬)時に問題となる事を書きました。

 私たちは口腔内の疾患の改善にいろいろな薬を使用します。
 そこで今回の命題でありますLDDSという方法で症状の改善を行っています。
 LDDSとは薬物局所配送療法(Local Drug Delivery System)のことで局所投与した薬剤を徐放(徐々に薬が浸透する)させることにより、長時間薬効を持続させるものであります。
 LDDSの利点は直接患部に投与するので全身では得られないような、はるかに高濃度の薬剤が一定期間維持される事であります。現在では歯周病の治療に使用していますが、歯と歯肉の間にできてしまった隙間つまり歯周ポケット内に直接投与した薬剤を徐々に放出させることにより有効濃度を維持し、ポケット内の歯周病関連細菌を抑制しようとするものであります。この歯周病関連細菌は歯周ポケット内に巣をつくるわけですが、バイオフィルムというバリヤーを形成していまして薬剤が到達しにくいわけであります。
 ですから経口投与では効果が低く、歯周ポケット内に薬剤を直接投与するLDDSが歯周治療における有効な手段なわけです。ただLDDSだからといって全く副作用がないわけではありませんので、患者さんは医師に薬物アレルギーの有無は伝えなければなりません。
 使用する薬剤はテトラサイクリン系の塩酸ミノサイクリンをペースト状にしたもので徐々に薬効を発揮していきますので、1週間程度、薬理作用が持続します。
 ただ歯周病だからといって安易に使用しているわけではありません。十分な初期治療(プラークコントロール、スケーリング、ルートプレーニング)の後に検査をし改善が思わしくないところにLDDSを一定期間使用します。

 薬は人間には必要不可欠ですが、使用しないに越した事はありません。健康な食生活をおくれるように、歯は大事に管理メンテナンスしましょう。



河田先生

 

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