「カビ」と聞くと風呂場のタイルなどに黒くこびり付いている物を想像すると思います。実は身体にも「カビ」が生えることもあるのです。一番よく知られているのは、水虫ですね。これは主に足の裏に出来ます。「カビ」は口の中にも生えます。口の中に出来るカビは、【カンジダ】と言います。
【カンジダ】などの微生物にとって口の中は非常に住み心地の良い場所なのです。常に36℃程度の温度に保たれており、湿度は100%、栄養は、食物が入る場所なので、1日2〜3回は、ほぼ確実に採れるということになります。そのような環境なので、口の中には常に200種類程度の細菌が存在しています。その中には、虫歯菌、歯周病菌、もちろん【カンジダ】菌(真菌)もいます。このような細菌を‘常在菌’といいます。
‘常在菌’は、お互いに牽制しあいバランスを保っていて、ある特定の菌だけが増殖しないようになっています。又、唾液の中には殺菌作用のある物質が含まれていて、細菌の増殖を抑えています。“歯磨き”は口の中の掃除なのでそれをすると、口の中の細菌数は確実に減少します。
しかし、口の中に【カンジダ】が増えてしまうときがあります。
老人や乳幼児などで、病気等により全身の抵抗力が低下した時。これは唾液中の殺菌力が全身の抵抗力の低下に伴い減弱するためです。後天性免疫不全症候群(エイズ)の時も同じです。
また、長期にわたって抗生物質を服用している人。抗生物質は体内の細菌の増殖を抑えます。【カンジダ】菌(真菌)には、抗生物質は効きませんので常在菌どうしのバランスが崩れて【カンジダ】になってしまいます。
次にこれが1番【カンジダ】になるケースだと思われますが、入れ歯を不潔にしている場合です。入れ歯には、目には見えないデコボコや穴があり、そこは、【カンジダ】などの微生物にとっては、大きなくぼみで、繁殖しやすいのです。入れ歯と接する粘膜部分は【カンジダ】になりやすいですね。この場合は、入れ歯をよく磨いて、洗浄剤に漬けると入れ歯についている【カンジダ】は取れます。口の中は、含嗽剤などでうがいをしてください。これで痛くなってきた入れ歯が痛くなくなる場合があります。
【カンジダ】の症状としては、粘膜の表面が白くなり、容易にはぬぐい去ることは出来ません。
口の中を清潔にしていれば、なかなか【カンジダ】にはなりませんが、入れ歯も清潔にしておきましょう。
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