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1.9.2003

No.0182


... 
歯が凍みる?
【象牙質知覚過敏症】

 『うがい』をするときはお水をお使いですか、それともぬるま湯ですか?。
 冬の季節には寒さに伴い水道水も冷たくなってきます。水道水で『うがい』をしたり冷たいものを飲み食いしたとき、“ピリッ”とか“ジ−ン”とか嫌な痛みを歯に感じたりしませんか?。「さては虫歯かな?。」と調べてみてもそれらしい虫歯は見つからない?!。
 こんな経験をお持ちの方はいませんか?。 
 虫歯の症状の一つに‘冷水,冷気に歯が凍みる’ということがあります。しかし、これとは別に虫歯でもないのに歯が凍みるという症状があります。これを【象牙質知覚過敏症】(HYS:ハイパーセンスィティビティー)略して【知覚過敏】といいます。
 【知覚過敏】という言葉については、既に皆さんもTVコマーシャルなどでよくご存知かもしれませんね。

 歯は、歯冠(通常、歯肉より上の部分)と歯根(通常、歯肉より下の部分)からなり、それぞれ3層からなっています。
 その最内部には歯冠,歯根共に歯髄(一般に神経と呼ぶ部分)があります。その周りをとりかこむように象牙質があります。
 歯冠の表層は人の体の中で最も硬いエナメル質でできており、歯根の表層は薄いセメント質というもので覆われています。
 象牙質の中には象牙細管という極細い無数の管が、象牙質の表面から神経(歯髄)へと通じています。
 本来、健康な状態では象牙質という部分は露出していることはないのですが、なんらかの原因(虫歯や歯周病、あるいは外傷)で、象牙質が剥き出しになると、象牙細管を通じて、外界の(機械的,温熱的,化学的)刺激が歯の神経に伝わりやすくなります。
 そして、その刺激を神経が感じたときに一過性(持続しない)に「凍みる」という状態が生じるのです。
 象牙細管は本来、口の中に入ったものを歯髄に伝えられるほど太い管ではありません。しかし、何らかの理由で管が広がり、口の中で剥き出しになった場合に、この様なことが起こります。

 象牙質が剥き出しになる原因は
 1)歯周病:歯を支えている骨が痩せそれに伴い歯肉の退縮
       (成人の85.%以上が歯周病といわれています)
 2)加 齢:老化現象による歯肉の退縮
       (毎年0.05o下がるといわれています)
 3)不適切な磨き方:歯磨きの行為自体が歯肉を削りセメント質やエナメル質を削り取る
 4)咬 耗:歯軋りなどによる歯の磨耗による
 5)歯周病の治療後:歯ぐきの退縮や歯石除去後の人為的な象牙質の露出
 6)咬合性外傷:噛み合わせの負担過重により、歯肉縁のエナメル質が自然剥離した為
 等です
 【知覚過敏】に対する主な治療法は
 1)歯科医院での正しい歯みがき指導:症状が軽い場合
  知覚過敏用歯磨剤の使用:薬用成分が、象牙質のまわりにイオンの保護膜を作ります。
  この場合、研磨剤がはいっていないものをおすすめします。
 2)知覚過敏治療薬(フッ素薬等)の塗布及びイオン導入
   :露出表層のコーティング又は象牙細管の封鎖
 3)歯髄(神経)を取る治療:知覚を完全に遮断する
 4)レ−ザ−、高周波などで象牙細管を閉鎖する
 歯周病の場合は、上記の処置と平行してその治療も必要となります。
 しかし、患者さんの中には凍みるからといって大切な歯ブラシを中断してしまう人がいますが、かえって歯垢がたまり歯垢の出す酸の刺激によりなかなか治りません。さらに時間が経過すると歯垢は歯石になってしまい象牙質の表面を覆ってしまいます。ここまでくると凍みなくなるかもしれませんが、これでは結局、虫歯や歯周病を悪化させてしまいます。凍みる部分は特によくブラッシングしてください。ぬるま湯を用いてうがいや歯ブラシを行うと、比較的楽に通常の口腔清掃を行うことができます。

 因みに、象牙質が露出したからといって、必ずしも知覚過敏という症状がでるとは限りません。それは、だ液中の成分(カルシウムやリンなど)や歯髄の働き(刺激による生体の防御反応)により、象牙細管が自然に収縮あるいは閉鎖されることがあるからです。
 【象牙質知覚過敏症】は、歯ブラシの毛先が当たって痛みを感じても、その一瞬で痛みは止まりますし、冷たいものを飲んでそれが凍みても、口のなかの温度が元に戻れば痛みはなくなります。しかし、虫歯が原因で‘凍みる’という症状が出る場合は、意外と進行しているものです。ご自分では気が付かない、小さな虫歯が歯と歯の間や歯と歯ぐきの間などにあるかもしれません。特に、甘いものが凍みる場合は隠れた虫歯を疑ってください。
 もし虫歯になっているのであれば、これは早急に虫歯に対する治療が必要だということになります。ですから、やはり‘凍みる’という症状がある場合には、これを軽視せずに先ずは“かかりつけの歯科医”に相談することをお勧めします。



澤田先生

 

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