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11.21.2002

No.0175

野菜を利用した虫歯ワクチン

 【ワクチン】は細菌やウイルスが原因の病気(感染症)からヒトの体(家畜やペット用もあります)を守るためのお薬です。‘天然痘’のワクチンを発見発明したジェンナーの昔から【ワクチン】は、注射や飲み薬の形で投与されるものでした。赤ちゃんの時に受けた“3種混合ワクチン”や“BCG”など、誰でも何度か経験していることと思います。
 以前の『歯科なんでもコラム』にちょっと書いていたのですが、【ワクチン】による病気の予防は虫歯の予防への応用の可能性が十分あります。
 現在のところは未だあくまでも実験段階ですが、近い将来は【ワクチン】を投与することで虫歯の多くは予防できるようになるそうです。

 虫歯の殆どは口の中の『ストレプトコッカスミュータンス』という細菌が酸を産生して歯を溶解させることでおこります。したがって「『ストレプトコッカスミュータンス』の感染を予防する【ワクチン】をヒトに投与すれば虫歯を予防できる。」と言う理屈のうえ虫歯ワクチンの研究がなされています。
 最近は、研究が進んで【ワクチン】を食べ物や飲み物に含ませて投与する方法が開発されています。例えば、ウシに『ストレプトコッカスミュータンス』を注射すると、このウシはこの細菌に対する抗体を作ります。ウシではこの抗体は乳の中にも含まれているので、このウシの乳を飲んだヒトは口の中に『ストレプトコッカスミュータンス』に対する【ワクチン】が拡がって、虫歯にならなくなります。
 また、その他に野菜にこの抗体を作らせる遺伝子を遺伝子工学の技術を利用して注入します。すると遺伝子を注入された野菜を栽培すると収穫した野菜の中に『ストレプトコッカスミュータンス』に対する抗体が含まれます。
 その野菜を食べることで、先ほどの牛乳の場合と同様に口の中に【ワクチン】が拡がって、虫歯が予防できるわけです。
 このように野菜を利用した【ワクチン】であれば、注射のように子供に嫌がられることもなく虫歯予防が進むことでしょう。

 早く実用化するといいですね。



清浦先生

 

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