11.11.1999

No.0017

“くいしばり”は、“ぎっくり腰”のもと!?

 みなさんは「火事場のばか力」ってご存じですよね!
予期しない一大事(それこそ家がもえている・・・なんて)の時、普段ではとうてい出し得ない力が無意識のうちに出せてしまうことです。最近、このことは科学的に証明をされ、けっして迷信めいた言い伝えではなく事実であることが判明しました。この「火事場のばか力」は普段の約1.5倍の力になるそうです。つまり、普段の私達は「出せる力」の約7割程度でもって「自分の筋力の限界」と心得ているのです。このことは、決して悪いことではありません。もし、私達がいつも「最大限の力」を簡単に出せるとしたなら、私達の筋肉は容易に破壊されてしまうでしょう。

 ときに、私達は状況によっては【無理な力仕事】をしようとしてしまうことがあります。そんな時に限って、“ぎっくり腰”という厄介な「けが?病気」と遭遇してしまいます。“ぎっくり腰”とは腰骨の病気(けが)のように思われていますが、関係する筋肉の病気(けが)でもあるのです。その様な人のことの成り行きを見ますと、その際普段以上の力を出そうとして瞬間的に筋肉に力を込めます。その瞬間、筋肉は壊れ支えられていなければならない骨に過度な圧力がかかり骨変形や軟骨の破壊や神経の圧迫が招じ、激痛で動けなくなってしまってしまうのです。そして不思議なことにその瞬間、人は“くいしばっている”のです。

 この“くいしばり”は一見最大の力を発揮する為の動作のように思われますが、実はやってはならない行為なのです。この“くいしばり”によって無理な力が体に対して不安定にかかってしまうのです。よって、ぎっくり腰を誘発しやすくしてしまうのです。今度機会があったら、重量挙げの選手の動作を見てみて下さい。あの途方もないバーベルを持ち上げる瞬間、選手は口を開けています。決してくいしばってはいません。

 「大きな力を発揮しようとするときに、決して“くいしばって”はいけない。」という理由は、詳しくはわかりませんが、【力の集中】を【肉体のバランス】に合わせることが大切だということだと考えられるのです。つまり、“くいしばり”という行為は、瞬発的に大きな力の発揮はなされるが、支えている肉体に対してバランスを崩すことになり、よって無理な強い力がバランス的に弱い部分の筋肉や骨などを破壊してしまうということなのだと考えられるのです。

 大きな力を出し得ても、その支えとなっている体を壊すようなことがあってはいけません。みなさんも今度機会があったら食いしばった場合と口を軽く開けた場合と比べてみて下さい。但し程度を考えてやってみてください。きっと違いがわかると思います。


古賀先生

BACK