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8.29.2002

No.0163

ムシ歯予防食品としてのキシリトール

 食品添加物のキシリトールについては、2000年2月3日(0029)版の『キシリトールについて』で掲載されましたが、あらためて【キシリトールのムシ歯予防】のメカニズムについて今回更に詳しく(Q&A形式で)ご紹介をしたいと思います。

 Q:キシリトールとは、どのようなものか?
 A:キシリトールとは、ショ糖に代わる甘味料として開発されたもので、もともと植物に含まれています。工業的には樺の木から作られるもので、我国では1997年に食品添加物として認可されてから、主にガムを中心とした菓子類に添加されています。甘味度はショ糖とほぼ同程度です。

 Q:キシリトールは、なぜムシ歯を予防できるのか?
 A:キシリトールがウ食を予防するメカニズムで最も重要なことはショ糖と違って、キシリトールを摂取してもストレプトコッカスミュータンスによって、粘着性のグルカンが作られたり、酸が産生されたりすることがないことです。  

 具体的に説明すると次のようになります。  
  1)ヒトが砂糖を摂取すると、ムシ歯の原因菌(ストレプトコッカスミュータンス)は、
   砂糖の主成分であるショ糖を材料にし、この細菌の持つ酵素
   (グルコシルトランスフェラーゼ)を用いて、ショ糖から粘着性で水に溶けない
   多糖体(グルカン)を作り出します。
   そして、ストレプトコッカスミュータンスはこのグルカンの強力な接着性を利用して、
   歯の表面に強く付着します。ところが、ストレプトコッカスミュータンスはショ糖以外の
   糖ではこのグルカンを作ることができません。つまり、ショ糖以外の甘味料を
   摂取すれば、ストレプトコッカスミュータンスはグルカンを作れず、
   更には歯面に強く付着することができないことになります。
  2)次に歯面に強く付着したストレプトコッカスミュータンスは、ショ糖などの糖を
   材料にして、酸を産生します。そしてショ糖以外の糖からは粘着性の糖のグルカン
   を作ることができないのですが、ショ糖以外の糖でもストレプトコッカスミュータンは
   酸を作り出すことができます。
   ですから、ショ糖を摂取しなくてもそれ以外の糖を摂取すれば、
   酸は産生されてしまいます。
   ただ、粘着性のグルカンが出来ていないのでストレプトコッカスミュータンスが、
   強く歯面に付着していることはないので、ウ蝕の程度は弱まります。
   しかし、糖の中でもこのキシリトールを材料としてストレプトコッカスミュータンスは
   酸を産生することはできません。
   そのようなわけで、甘味料としてキシリトールを摂取している限りは、
   酸の産生は出来ないわけです。
  3)更にキシリトールは、この菌の生存を阻害するように働きます。
   その結果、口の中のストレプトコッカスミュータンスの菌数は減少してしまいます。
   しかし、ストレプトコッカスミュータンスの中にはキシリトール取り込んでも死なない
   変異をおこしたものがいます。
   この変異菌は酸を産生する能力が低下しているために、
   う蝕をおこしにくいことが知られています。
   そのため、キシリトールに耐性の変異したストレプトコッカスミュータンスが増加しても
   ムシ歯がおこりやすくなることはありません。
  4)キシリトールにはウ蝕を防ぐだけでなく、酸によって溶解した歯面を補修する
   役目もあります。ウ蝕は細菌が産生した酸によって、
   歯面PHが5.5よりも低くなるとおこります。
   酸性に傾くと歯のエナメル質が溶けてしまうのです。
   しかし、PHが通常の口の中の値である7.0付近に戻ると、
   溶解した部分が自然に補修されます。
   このことを再石灰化といいます。
   この再石灰化は唾液の分泌が促進されることで、唾液の緩衝作用によって
   PHが 7.0に戻るためにおこります。
   キシリトールを摂取すると唾液の分泌が促進されてこの再石灰化が促進されると
   かんがえられます。
   但し、この再石灰化は極初期の小さな部分のみが溶解したときに補修できるだけで、
   大きな欠損ができてしまった場合には不可能です。

 Q:キシリトール使用の問題点
 A:ウ蝕の予防に効果のあるキシリトールですが、問題点もあります。それは一時に多量に摂取すると腹部の膨満感、軟便化、下痢などの副作用がおこることがあります。したがって、取りすぎないように注意すべきで、通常のおやつの時にキシリトール入りのガムなどの菓子類を取るようにすべきでしょう。



清浦先生

 

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