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8.15.2002

No.0161

薬の副作用
【スティーブンス・ジョンソン症候群】をご存知ですか?

 世の中では、科学進歩の代名詞の一つに“21世紀はバイオテクノロジー(BT)の時代”と言われていますね。その(BT)の開発競争において、医薬品の占める割合は少なくありません。何故なら、医薬品は‘高収益’を生み出す重要産業の一つだからです。
 何故、医薬品は‘高収益’を生み出すのでしょうか?。理由は簡単ですね。私達人間は、日々健康で快適に不自由のない暮らしを望んでいるからです。その為には医薬品は欠かせない物となっているからです。
 自然界の生命を持つ全ての動植物はケガをしたり病めばほとんどの場合『死』を意味します。しかし、私達人間だけは自らの知恵と道具で病やケガを治すことができるようになりました。近年その医薬品の進歩はめざましい物となってきました。私達人類の生命維持への飽くなき本能は、他の生き物にない程貪欲なものと言っても過言ではないのでしょう。
 故に、将来も医薬品はどんどん進化し私達の周りに溢れていくことでしょう。医薬品は、私達人類の幸福のために必要です。大いに役立っていることは紛いもない事実です。しかし、実は医薬品のもたらす効果は完全無欠の有益だけではありません。医薬品は、『諸刃の刃』であることを忘れてはいけません。医薬品は常にリスクを伴っているということを忘れてはならないのです。それは周知のことですが、医薬品には有益作用と共に副作用というものが必ず潜んでいると言うことです。

 さて、医薬品の副作用とは何でしょう?
 一言で言いますと、『害』です。
 例えば、抗生物質は病気の原因となっている病原菌を殺してくれます。しかし同時に人の体に宿し役立っている菌も殺してしまいます。ですから薬を飲むと下痢をしたなど軽い副作用を訴える方は少なくありません。人の体に大切な良い菌には『害』となっているわけです。
 『害』の程度つまり副作用の症状は、軽いものから重いものまで様々にあります。軽いからといって安心できるものではありません。
 では「重いものは?」と言いますと、今話題となっている重篤な副作用の一つに【スティーブンス・ジョンソン症候群Stevens-Johnson syndrom】と言うものがあります。

 普段なにげなく使っている薬には、発症は希ですが、全身の皮膚粘膜が火傷状態となり、死亡や失明にいたる重篤な副作用があります。薬を使用後、数時間〜数日で水疱が急激に全身に広がり、皮膚がただれ瀕死の状態になります。これが【スティーブンス・ジョンソン症候群Stevens-Johnson syndrom】(中毒性表皮壊死症)と呼ばれるものです。
 発症の危険はあらゆる薬に潜んでいます。原因薬は市販の風邪薬、抗生物質、解熱鎮痛剤など、その数は千数種類にも及びます。その予防法は確立されておらず、誰にでも起こりうる可能性があります。
 厚生労働省の発表では毎年250件〜300件の症例報告があり、過去5年で1500人以上の被害が出ています。発症率は20万人に1人ですが死亡率は30%に達します。

 結論を申しますと、私達医療従事者もそして一般の皆さんも、身近に溢れている医薬品を体内に入れる(外用薬も含め)ときは、必ず一瞬自問自答して欲しいのです。

 患者さんの心構え:
   「この薬を飲むことで今の体の不具合は楽になるかもしれない。」
   「でも、この薬にも副作用は忍んでいるかもしれない。」
   「この薬を飲むことはその副作用も飲むことになるのだ。」
   「異変があれば、担当医にすぐ聞こう。」

  医療従事者の心構え:
   「この投薬することで、患者さんの病状を良くできるかもしれない。」
   「でも、この薬は患者さんに副作用をもたらすかもしれない。」
   「お薬を処方したら、全ての患者さんの服用後の状態観察は必ず注意しよう。」
   「異変を見逃さないためには、できるだけ投薬日以降数日間連続した診察を行おう。」

 私は皆さんへは安易に薬を飲むことをお薦めしません。しかし、病院にかかられている方は其処のお医者さんから飲みなさいといわれて飲まされている場合もあると思います。そんな方にも「薬は飲むな」といっているのでは決してありません。治療に必要だから薬を飲むのですが、『薬は決して無害ではない』ということを知っていて欲しいのです。ですから『薬を飲む』ということを慎重にとらえていて欲しいのです。飲み方や飲む量など又飲んだ後の具合の確認などをご自分で意識していて欲しいのです。
 この様な意識こそが、医薬品の持つ副作用によって不幸になることを少しでも減らすことに繋がると私は思います。

 【スティーブンス・ジョンソン症候群】参考ホームページ
  http://www.ne.jp/asahi/sjs/tens/index2.html



古賀先生

 

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