11.4.1999

No.0016

「咬合」:こうごうと読みます

 最近では,新聞,雑誌など色々な所で歯科に関する情報を見ることが出来る様になりましたね。その中で咬合(こうごう)と言う言葉も目にすることも多いとおもいますが、咬合とは、簡単に言ってしまえば上の歯と下の歯がくっついる状態をさすのですが、これが人間の体にとってとても大切な役割をしているのです。

 先日,私は歯科医師を対象とする咬合に関する話を聞く機会があったのでその話を紹介します。

 ある老人が,ある病気(決して命にかかわるような物ではありません)で二週間程度の入院をすることになり,検査の邪魔になると言うことで,入れ歯を入院中はずすようになってしまいました。ここからこの老人は寝たきり生活がはじまってしまったのです。数年間の寝たきり生活が経過したある日,この老人は一人の歯科医師に出会い入れ歯をいれることをすすめられました。この後,この老人は数ヶ月の入院後,自立歩行にて退院をしていくのでした。

 この他にも、この様な実例が数多く紹介されました。例えば車椅子で通院していた老人が、入れ歯を入れることで自分の足で立ち上がり、そして車椅子なしに通院してきたり、痴呆が少しずつ回復していく様子など。

 最後にこの実例を紹介して下さった先生は「今、寝たきり老人を救えるのはお医者さんではなく、私たち歯医者かもしれませんね。」と話してくださいました。

 私も実際に、不適合な入れ歯を入れていた患者さんに、新しい入れ歯を作り装着してもらった所、脳梗塞の後遺症で左足の震えが止まらなかったのですが、数ヵ月後この後遺症が全く消えてしまうと言う体験をしました。ただ、これが本当に入れ歯を新しくしたからなのか、今も半信半疑の状態ですが・・・・・。

 咬合と全身との関わりなど見落としやすいものです。そして全ての人にこの様な変化がおこるともかぎりません。しかし咬合や歯は全身や脳に対して信号を送る大切な器官なのか
もしれません。

 肩こりや偏頭痛その他、体に関することで悩んでいたり、長い通院をしているような方、一度歯科医院にて咬合をみてもらってはいかがでしょうか。


香西先生

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