各地の児童,生徒の皆さんの【学校歯科検診】は、もうお済みですね。
『学校集団健康診断』は、歯科の他に内科,眼科,耳鼻咽喉科を対象に、幼稚園から高等学校までの幼児,児童,生徒に対して、毎年6月末日まで実施されなければならないことになっておりますので、大半の生徒さん達は健診を済まされていることと思います。
当たり前のように行われてきているものですが、皆さんはこの健診の目的をご存知ですか?。
この健診の目的は、児童,生徒達が正常な発達をしているかどうかを調べ、仮に健康異常のある生徒が見つかれば、早期発見による適切な対処及び健康管理ができるようにするためのものです。
更に、児童,生徒達が【学校集団健康診断】を受けることによって、自分自身の健康状態を知り健康の重要性を理解し、それを維持,増進させる方法を自ら考え実践するという『健康教育の一環』として大切なものです。
【学校歯科検診】は、‘学校保健法’において[診断]という用語で検査を行ない、 の実施内容は、第1次スクリーニング(大まかなふるい分け診査)を行うことのみです。【学校歯科検診】において1次スクリーニング以上の詳しい診査,診断を行うには環境(照明器具等)や器具の制限などの問題があり、再診査診断の必要と思われた児童,生徒達には、歯科受診のお勧め(歯科治療勧告書)を交付して地域の開業歯科医で確定診査,診断並びに治療をお受け頂くように伝えることを実施目的とした活動となっています。
【学校歯科検診】の診査内容は、‘齲蝕罹患歯(C1〜C4)の有無’‘要観察歯(Co)の有無’‘歯垢の付着状態’‘歯周疾患要観察者(Go)であるか否か’‘歯列及び咬合の良,不良’‘顎関節疾患の有無’などです。
最近では、噛み合わせの異常(不正咬合)の診査は、よほどの異常(著しく、明らかに虫歯、歯周病、児童、生徒の心理的負担)がない限り精査項目としない場合もあります。
顎関節症状は、ご本人やご家族が気が付かなくても口の開閉時に顎の偏位で身体の各部に異常な症状が現れる場合があります。(肩凝り、頚部痛、偏頭痛、耳鳴り、めまい等)
いわゆる虫歯の診査で特に問題なのは、要観察歯(Co)です。これは基本的には学校で指導しながら、しばらく様子を見る歯ですが、歯と歯の間に要観察点のある場合は「要精検」と診断をしております。
【学校歯科健診】の後に{歯科治療受診書}をもらった児童,生徒は、“かかりつけ歯科医院”へ受診され再度詳しい診察をお受けになることをぜひお勧め致します。
お子さんのお口を診ても、「虫歯がない」「痛がっていない」からと言っても歯と歯の間や見た目小さな虫歯又は要観察歯(Co)と診断された歯は、素人目では治療の必要な虫歯かどうか判断できないものです。
更に、年齢の割に乳歯が多くてなかなか永久歯が生えてこないというお子さんもレントゲン写真を撮る事で永久歯の萌出状況も把握することは大切です。
乳歯がグラグラしていなくても、乳歯根の正常な吸収がなされていないとか、歯茎の繊維が強く付着しているとかで、後続の永久歯が正常に生えてこれないで、抜け落ちれない乳歯を避けるように内側や外側から無理に生えてきて将来、歯並びが悪くなる可能性もあります。
そして、【学校歯科健診】の行われる予定日の近日に歯科治療を終了していたにも関わらず{歯科治療受診書}をもらった場合は、その受診されていた“かりつけ歯科医院”に再度の診察をしてもらい、どういう理由で{歯科治療受診書}を交付されたのかを再確認する必要があると思います。
【学校歯科検診】は、あくまでもスクリーニング検査であって精密な検査ではありません。
しかし、【学校歯科健診】は、児童,生徒達の歯科疾患の早期発見早期治療の為の“かかりつけ歯科医院”への受診のきっかけにしてもらう大切な健診なのです。
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