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4.25.2002

No.0145

【インフォームドコンセント】から【インフォームドチョイス】へ

 新聞やニュースでは医療に関する話題や記事を最近目にする機会が増えています。中でも、医療事故に関する記事は多く取り上げられているように思います。医科ではミスが患者さんの生命の危機に直結するのでより細心の注意が必要とされることは間違いありません。しかし、われわれ歯科医師も他人事ではありません。患者さんにより上質な診療を提供するために更なる努力が必要とされるところです。

 2年前の健康保険診療の定期的見直しにおいて『かかりつけ歯科医診料』というのが新たに健康保険に導入され、患者さんへの“情報提供”を行うことが推進されるようになりました。それに先立ち【インフォームドコンセント】といって「病気とその治療についての説明と同意を得ることを患者さんへ行う事」も医療全般において普及し出しているところです。
 歯科では、どうでしょう。
 虫歯ができ歯に穴があいてしまった患者さんに詰め物をすればよい、歯がグラグラしている患者さんの歯を抜けばよいと言う時代はとっくに終わっているのです。虫歯で歯に穴があいた患者さんには、銀歯を使って治療をするのか、歯と似たような色の詰め物で治療をするのか、金属を使って治療したときのメリット、デメリット、歯と似たような色の詰め物を使って治療したときのメリット、デメリット、そして患者さんがそれを聞いたうえでどちらの治療を選択するかで治療の方法を決めていくことが大切だと思います。
 われわれ歯科医師には患者さんに対して治療法や期間それに掛かる費用などの情報提供をする責任と義務があり、患者さんには、歯科医師から情報提供を受け「治療法を選択する権利と責任」があると思います。これが【インフォームドチョイス】ではないかと思います。

 このホームページには『歯科に関する質問や相談を投稿できる掲示板』があります。この掲示板には色々な方から質問等をいただきますが、現在治療中で歯科医院に通院してるにもかかわらず、治療法に関する不安、質問を投稿いただくことがあります。
 この質問を見たときにこの患者さんは現在通院中の歯科医師から説明を受けていないのだろうか?相談を聞きうける余裕もないのかと疑問に思うことがあります。
 これは、われわれ歯科医師がまだまだ患者さんへの説明義務が果たせていないことにも一因があると思われます。

 とかく嫌われがちな歯科治療。その原因として歯科医院に行くと何をされるかとても不安になりやすいと思います。そんな時、歯科医師とどんなことをやるのか、どのくらい期間がかかるかなど質問をしてみてはいかがでしょうか。歯科医師とコミュニケーションをとることで、歯科治療への恐怖心や不安が少し軽減されるのではないかと思います。



香西先生

 

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