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3.28.2002

No.0141

「歯科心身症」が保険適用されます

 歯科治療を受けたのにも関わらず、自分の思う感じに治っていないということが、ありませんか?。今までは、具体的な治療をすることが主で患者さんの話をじっくり聞くことは無かった歯科医療ですが、この4月からは保険の内容が変わって相談や訴えをじっくり聞く事も認められます。現代では個人を取り巻くストレスが、歯科の病気と共に浮き出てきてくることも多いのが実状です。精神的な問題を抜きにしていた過去の歯科医療もこれからは変わることでしょう。
 そこで、その様なストレスなどと絡み合った歯科異常にについてやや専門的な文面にはなりますが述べてみたいと思います。

 歯科治療における心身症は、「なかなか痛みが取れない不快な痛みがある。」など、主に【感覚異常】のことをいいます。更に、加えて【機能的異常】として唾液分泌異常咀嚼障害口臭などがきびしい心理的な環境と同時に発生しやすく、偶々更年期にかかっていた年代あるとか過去の疾患で弱っている組織(歯周症、アフター性口内炎や疱疹など)に何らかの情緒的ストレスが加わった場合に口腔症状が発生しやすくなります。
 従って表れる症状は、比較的単一であるが、訴えはなかなか真剣できびしさがあるので心身症であるかどうかを簡単な問診で判定することは難しいと思われます。
 心身症の患者は自分で身体症に罹っていると思いこんでいるので本人や家族からの身体疾患の背景にある感情問題性格家庭環境生活史など詳しく聞き出す必要があるとされてます。
 特に発病前後の状況は、その時の精神的生活の内容まで触れていかなければ難しい問題なのです。
 いざ患者さんを前にして治療するのは個々の症例によって違うので大変難しいものです。せいぜいできることは患者自身に自分の訴えや病状をきめ細かく重大に取り扱ってもらったという安堵や信頼が医師の受容と相俟って良好なラポール関係となり、それが軸となって始めて治療が始まるものと思われます。
 よって、心身両面からの治療が大切です。
 例えば、身体面からの治療としてデンタルショックに対する自律神経調整剤口臭には口臭除去剤義歯不適症には義歯安定剤や義歯調整などがあげられるが、このほかに心理面から何らかの治療を加える必要があります。

 私達歯科医師は、患者さんとのラポールをよくとるように問診票などから患者さんの主訴をよく理解しその背景にあるものを見つけなければならないし、専門知識を必要とする本格的なケースにおいては精神心理関係の専門家に尋ねる必要があると思います。
 歯科だけを見るのではなく他の分野のことも理解しておかないと判断できないので日々の精進を怠らないように努めていくことだと思います。



荻野先生

 

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