10.21.1999

No.0014

お口に係わる癖について

 お口に係わる癖には、口での呼吸・唇を噛む・爪を噛む・舌を押し出す・指をしゃぶる等があります。そこで今回はこの中の「指をしゃぶる」癖について少しお話をしてみたいと思います。

 乳幼児(赤ちゃん)が指をしゃぶっている行動は、きわめて生理的なものなので、【癖】というよりは自然な動作と考えられます。一部の赤ちゃんは誕生の以前つまり母胎の中にいる時から、既に指をしゃぶっているということをご存じの方も多くいらっしゃるでしょう。

 赤ちゃんは、最初自分の指をしゃぶっていますが、成長発達と共に自分の手がいろいろなものをつかめるようになる為、自分の指以外の物を口に持っていきます。これは【興味の現れの表現】と考えられます。成長と共に赤ちゃんの興味は益々膨らみ、自分の指をしゃぶることに無関心になっていき、1才を過ぎる頃には指しゃぶりの癖は無くなってしまいます。ところが、「指しゃぶり」という行為には、【興味の現れの表現】とは別に【精神の安定効果】という働きがあるようで、遊びに熱中している時や、眠りにつく間際において「指しゃぶり」を行う子供も少なくはないのです。

 この「指しゃぶり」という行為は、3才ぐらいまでは何ら問題はないのですが、この年頃を過ぎて5〜6才になっても依然「指しゃぶり」が無くなっていないと、少し困ったことになってきます。それは、あご骨(特に上の)の変形をきたしたり、歯並び(出っ歯や開き歯)を悪くしてしまうことです。一般に、子供同士の遊びや幼稚園での集団生活によって社会性が発達してくると、この癖は消失してくるようですが、なかなか治まらない子供の場合にはその程度やこれまでの経緯を見た上で、根気よく優しく治してあげる努力を親御さんがしてあげて下さい。急激な矯正を押しつけてしまうことは決して好ましくはありません。

 厳しすぎる注意や強制的方法は、返って子供へ悪影響を及ぼしかねないのです。外遊びを多くしてみたり、一緒に遊ぶ時間を多くしてみたりとかして、お子さんの生活面や心理面への配慮を含めた対応をとられることが肝腎ではないでしょか。


梶山先生

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