虫歯の治療を受けて、詰め物をしたり、被せたりした歯なのに、その後再びその歯が痛くなったことのある方はいませんか?。
「あの先生は、適切に処置してくれなかったのかしら?。」
「神経を取ってくれなかったから、又こんなに痛みだしたんだ。」
「ちゃんと治療をしなかったあの先生が悪い。」
と思うのも無理はないことです。が・・・
しかし、大概これは誤解をされていることが多いと思います。
虫歯が深いが、神経を取り除かずに処置した場合にそのようなことがしばしばあります。歯の最も内側は神経と血管が通っています。その神経と血管を歯髄と言います。歯髄は歯に酸素や栄養を供給したり、歯の内側から新しい歯質を作ったりしています。すなわち、歯髄のある歯は、ただの石のような物ではなく、生きていて呼吸をしているのだと言えると思います。
神経(歯髄)を取り除いてしまうと、歯に酸素や栄養が供給されなくなるので、その歯は、死んでしまいます。死んだ歯は、脆くなり、折れやすくなってしまいます。木の枝を想像してみると分かりやすいと思います。枯れ枝に力を加えて曲げるとパキッと折れますが、枯れていない枝は、弾性があり、しなって折れませんね。同じ事が歯にも当てはまります。歯の折れ方によっては抜かなければならないのです。
また、死んだ歯は茶色く変色してす。前歯の場合は茶色い歯では嫌ですよね。
それに、神経を取り除いたからといって、もうその歯は痛くならない訳ではないのです。根の先から膿んでしまうこともあり、ひどくなると、歯茎が腫れてしまいます。時には抜くようになります。やはり生きている歯より死んでしまった歯の方が寿命が短いのです。
従って、神経を取り除かないで治療をし、なんとか神経を残そうとしてくれた先生には、むしろ、ありがたく感じると思います。ただ単に失敗とは思わないでいただけると歯科医として嬉しく思います。
もちろん、神経を取り除かなくてはならない場合もありますが、出来るだけそういうことのないようにしたいと思います。
その為にも、虫歯が大きくなる前に歯科医院の門を叩くことをお勧めします。 また、毎日の歯ブラシと定期検診が歯の寿命を延ばす方法だと思います。
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