writing : wahaha's members / 毎週木曜日更新

画面サイズを最大化にして、お読み下さい。

11.15.2001

No.0122

「どうせ乳歯は生え替わるから」は

 乳歯は、生後6ヶ月ぐらいから生え始めて3歳前後ぐらいで全ての乳歯が生え揃います。そして、6〜7歳から徐々に抜けて、永久歯(大人の歯)へと生え替わります。11歳ぐらいで完全に全ての乳歯が抜け落ち、乳歯の役割は終えることとなります。この間「わずか数年のことだから。」と言うことからでしょうか「どうせ乳歯は生え替わるから虫歯になっても大した問題じゃない。」という考えを持つ方々がまだまだ多い気がします。
 しかし、わずか数年の間のことですが、乳歯にはその期間において大切な役割があるのです。決してないがしろにはできない理由があるのです。

 第一には、子供の小さい顎に合わせた歯並びを構成し、食物を飲み込めるようにかみ砕くということです。この咬むという事は、子供の未発達な消化機能を助けます。咬む刺激により上下の顎の成長をうながします。そして、頭(脳)の発育に関与していると言われています。
 第二には、永久歯を正しい位置へと誘導し、永久歯の歯並びのきっかけを作ります。

 以上の理由から、虫歯で乳歯を生え替わる時期よりも早く失う事は、永久歯の歯並びに影響を与えます。これらの事から、乳歯はどうせ生え替わるから、という捉え方は認識不足といえます。

 乳歯の虫歯は永久歯の虫歯よりも多発性で、急進性であります。つまり、どの歯も虫歯になりやすく、どんどんと進行してしまうということです。虫歯は、痛まずに進行するものですから痛くなったときには、かなり悪くなっています。そして、深い虫歯のあるお子さんにかぎって治療に協力的でないことが多いのが現状と言わざるを得ません。
 泣き叫ぶお子さんの治療もしばしばあります。痛みがある時や大きく歯茎が腫れている時などは、今すぐ治療をしないともっとひどい症状になる恐れがあるので、敢えてお子さんの体が動かないように押さえつけて強引に治療をする場合もあります。「なんてひどいことをするのだろう。」とお思いの親御さんも多いことでしょう。しかし、敢えて申し上げれば【必要な大切な事】と理解して頂きたいと思います。

 1つお願いがあります。お子さんを何とか歯医者に連れて行く為に「歯医者に行っても、何もしないから・・・。」と言って来院されてはいけません。結果としてそれが【嘘】となる事もありうるからです。そうなると、『大人は嘘つき!』という不信感を子供は抱くようになります。お子さんの歯は治っても心に大きな傷を負う事になりかねません。

 大人でさえ十分に行き届いた歯磨きができている方はまだまだ多くない実状なのです。ましてや、乳歯期のお子さんが自身だけでしっかりとした歯磨きが出来ているわけはないのです。乳歯虫歯の発症原因の大部分は不十分な歯磨きです。
 ですから、親御さんの責任は大きいのです。

 歯医者さんで、本当に「何もしないよ」で済むように子供の歯を守ってあげてましょう。



寺田先生

 

BACK