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11.1.2001

No.0120

先ずは【第一大臼歯】を守りましょう!!

 【第一大臼歯】は、俗に『6歳臼歯』とも呼ばれ、その名の通り、6歳前後に生える奥歯のことを言います。大臼歯と言う名も、食物を噛み砕く為の大切な役割を果たしている歯だからこそ着いた名前でしょう。また【第一大臼歯】はかみ合わせの位置づけをしたり、矯正治療においては‘歯を移動させるための碇の役割’をするなど、色々な意味で大切な歯です。(もちろん歯はすべて大切なのですが・・・)しかし、【第一大臼歯】は虫歯にかかる割合および喪失してしまう割合(何らかの理由で、抜歯せざるを得なくなってしまう)が高い歯でもあるのす。
 その理由としては、6歳という幼児期に生えることから手入れが行き届かないことが考えられると思います。
 生えて間もない永久歯は、幼若永久歯と呼ばれ完全に成長しきっておらず、生えてから数年経過した歯に比べると柔らかいのです。従って虫歯の進行も早く、虫歯になりやすい状態にあるのです。
 更に、【第一大臼歯】は、歯の表面にある溝が深くそこに虫歯の原因となる汚れがたまりやすい状況にあります。

 そこで【第一大臼歯】を守るための第一歩として<シーラント>と呼ばれる虫歯予防の処置をしておくことをお勧めします。この<シーラント>とは、歯を削らずに歯の溝の部分に樹脂を流し込み虫歯を予防するという処置です。健康保険で受けられる処置なので、費用もそれほど高くはありません。
 <シーラント>は、有色(白色、ピンクなど)及び無色透明の物があり、物によってはフッ素を少しずつ放出してくれるので、歯質の強化をしてくれます。<シーラント>は【第一大臼歯】に限らず、乳歯やその他の奥歯の溝の虫歯を予防する手段としても使用することができます。また、最近では歯の溝の部分だけでなく、歯と歯の間の虫歯を予防するために用いられることもあります。
 しかし、ここで注意していただきたいのが、「予防はあくまで予防」です。<シーラント>をしたからといえ虫歯に絶対ならないという訳ではありません。虫歯になりにくくするだけなので、歯磨きを決して怠ってはいけません。

 皆さんは、「デンタルIQ」という言葉をご存知ですか。簡単に言えば、歯科医療に対する知識レベルの事ですが、日本人の「デンタルIQ」は欧米諸国に比べまだまだ低く、虫歯予防の意義をあまり認識されていないと言われてます。この事は患者さん側だけに問題があるのではなく、患者さんへ『虫歯予防の重要性』を伝えきれていない私達歯科医師の努力がまだまだ足りないことに原因があるのが大きな問題であると思います。

 皆さんご自分のお口の中をちょっと鏡で見てください。親不知の生えていない人は、奥から2番目生えている人は奥から三番目の歯。治療してありませんか?

 虫歯は『早期発見・早期治療』が大切です。ですが“虫歯にならない事”は、もっと大切なことです。このコラムを読んで下さった方が少しでも虫歯予防の重要性を理解していただけたら幸いです。



香西先生

 

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