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10.11.2001

No.0117

左右のバランスが大事です・・・脳と歯

 皆さんは『右脳』『左脳』という言葉をご存知ですか?。
 人間の脳は、主に『右脳』と『左脳』に分かれており、各々が上手に連携して機能しています。
 一般的に『右脳』は”直感・創造”等の働きを得意とし、『左脳』は”論理・思考”等の働きを得意とします。
 又、左右の脳を比較して、『右脳』の働きに優れる人を『右脳タイプ』、『左脳』の働きに優れる人を『左脳タイプ』の人間といい(勿論中間型の方もおられますが)、大きくはこの2種類に分かれます。
 そして、利き手・利き足があるように、無意識の内に多用している側の脳は、その人にとっての『利き脳』と言えます。
 因みに、ご自分の『利き脳』を判断する簡単な方法があるそうなので、ちょっとご紹介します。まず肩の力を抜いてみてください。そして、胸の前で腕を組んで下さい。その時に左腕が上にきた方は『右脳タイプ』、逆に右腕が上にきた方は『左脳タイプ』となるそうです。皆さんは如何でしたか?

 さて、どのような場面で『右脳』『左脳』の働き方の違いが現れるのでしょう?。
 私の勝手な創造も交えて幾つかの例を挙げてみたいと思います。

@ある小説家の場合・・・
  まずプロットを考える(右脳活躍中)。そしてプロットに基づいて文章を構成する(左脳活躍中)。この本は売れる予感がする(右脳活躍中)。そうだ印税計算をしてみよう(左脳活躍中)。

Aある数学者の場合・・・
  難解な命題に取り組む(右脳活躍中)。解明した命題を数式に表して証明する(左脳活躍中)。世界が賞賛するのが目に浮かぶ(右脳活躍中)。そうだ講演料を値上げしよう(左脳活躍中)。

Bある歯科医の場合・・・
  治療後の状態をイメージする(右脳活躍中)。診査・診断・分析して治療計画を立てる(左脳活躍中)。治療費の事を考えないで、患者さんにとって最適な方法で最良の材料を用いた治療が出来ればナ〜(右脳活躍中)。でも負担を大きく出来ないし保険の制約もあるし(左脳活躍中)。色んなシガラミ無くなればいいのにナ〜(右脳)。でもそんなの無理か(左脳)。

 利き手にペンを持ち紙に字を書く時に、反対の手をその紙に添えるように、又、利き足でボールを蹴る時に、反対の足が軸足として大切なように、『利き脳』を生かしきるには、反対側の脳も活用しなければ十分とは言えません。『右脳』と『左脳』、どちらが大切かと問われれば、その答えはどちらも大切であり必要であるとなります。
 重要なのは、『利き脳に』まかせっきりにするのではなく、『右脳』『左脳』をバランスよく使う事なのです。

 さて、話を進めて、私共歯科医の立場で『右・左のバランス』に注目すると、「右噛み・左噛み」といった噛み癖、『片噛み』が大きな問題となります。
 『片噛み』も『利き脳』を使うのと同じく、そのほとんどが無意識の内になされている事が多いのです。原因は歯列不正の為であったり、歯を喪失した後の補綴処置(入れ歯やブリッジ等)をしていない為であったり、虫歯や歯槽膿漏で痛みのある所を避ける為であったりと様々です。
 『片噛み』を誘発するこれらの原因は、病気や怪我と同様、その症状が初期のものであれば回復も早いのですが、悪化させ慢性化させれば治すのも容易ではなくなります。一度崩れた左右のバランスを取り戻す為の治療は、噛むところがあるから放って置くなどしてその時期を逸してしまうと、虫歯や歯槽膿漏の治療であれ、矯正治療であれ自分の体に大きな負担を掛ける事になってしまうのです。
 更に「噛む」と言う行為が脳への刺激になる大事な事と言うのをご存知の方もおられるかと思いますが、長年に渡って『片噛み』を続けていると、「噛む」事によって生まれる脳への刺激も著しく低下していきますから、『右脳』をあまり使わない方と同様に、ボケやすくなると思って頂いてよいと思います。  

 このように考えると、『脳』にとっても『歯』にとっても、普段私達が考えもしない「左右のバランス」がいかに重要な事なのかがわかります。

 芸術・読書・スポーツの秋、趣味に親しみ『右脳』を働かせるには良い季節となりました。この機会に普段忘れがちな『右脳』に刺激を与えてみては如何ですか。そして、ご自分の『片噛み』やその原因に思いの至った方おられましたら、この機会に歯科医院に行かれてみては如何でしょう。



神部先生

 

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