9.30.1999

No.0011

不思議な記憶

前回までのコラムとは少し「味わい」の違った内容のコラムをと考え、今回は「歯科」の領域からちょっと離れたお話をいたします。ちょっと一服して下さい。

今年の夏、4回目の誕生日を迎えたばかりの長男に、以前から興味のあった質問をしてみました。
『ママのお腹の中にいた時のこと、覚えてる?。』その答えは「うん。」でした。
『どんなだったの?。』と聞く私に、彼は実にスラスラと沢山の《思い出話(?)》をしてくれました。
その「ママのお腹の中は真っ赤でね、でも暗かったの。」
その「お腹の中でいっぱいキックしたんだよ。」
その「ママ、階段から落ちちゃたから『ごめんね。』って言ってなでてくれたんだよね。」
などなど、、、(その、、……以下省略)

確かに妊娠中、階段から落ちたことがあったので、正直なところ彼のその言葉には大変驚かされました。そこで私は更に違う質問をしてみました。
『外に出てきた時のことは覚えてる?』そして、彼の答えは…「あのねー、ここ(胸周りを押さえる)とここ(今度は頭周りを押さえる)がギューってなって苦しかったよ。」…だそうで。あまりにも生々しい彼の答えに、ただただ感心し再び驚いた私でした。感心しきりの私に、彼は真顔で延々と『思い出話』を続け、その話が終わるまで10分以上かかったのでした。

確かに育児書などでも『外界の音は胎児にも聞こえている』と書かれてはいますが、これほどはっきりと彼の記憶として聞けるとは思いもよりませんでした。胎児はお母さんのお腹の中で、家族の一員となる前にこうやって心構えをしているのかも知れません。同じ年頃のお子さんがいらっしゃる方は、是非試してみてくださいね。物心がついたら忘れてしまうと言われている、胎生時の不思議な記憶にふれ、きっと神秘的な気持ちになれると思います。
(*因みに、全ての幼児が必ず覚えているわけではないそうなので、あしからず宜しくお願いします。)

おしまい!


田村先生

BACK