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7.12.2001

No.0104

未病(みびょう)』という考え

 皆さん、『未病(みびょう)』という言葉をご存知ですか?。
 この『未病』という言葉は、約二千年前の中国後漢時代の医学書に「未病を治す」という形で使われています。
 「未病を治す」とは「体内に潜んでいる病気を見つけて早めに治す」という事を意味します。主に東洋医学を中心に使われてきた『未病』を西洋医学風に言い換えると『検査値(検査結果)は異常有り、自覚症状は無し』という病態の時期で尚且つ『放置されれば必ず発症(発病)する』という時期となります。
 特に体調が悪いという訳でもないのに、健康診断を受けたら思いもしなかった病名を告げられたり、検査値が正常範囲から大きく外れていて驚かされたりといったご経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?。
 これはまさに『未病』といえる時期で、生活習慣病の多くはこの状態にあります。例えば脂肪肝・高脂血症・軽症高血圧・境界域糖尿病等がそれです。

 現代西洋医学、特に治療医学の分野は『健康な状態』と『病気の状態』という2つの概念を対立させて考えられ、「病気になった人を治して健康な状態にする」と言うことに主眼が置かれ発達してきたといえます。
 しかし『健康な状態』か『病気の状態』かというように、全か無かといった区別は人間の状態としては不自然と言わざるを得ません。そこでここに『未病の状態』という概念を加える事によって、現実には多く存在している健康と病気の間にいる人々へ視点が広がります。
 現在、治療医学と対比して使われる予防医学の分野では、検診・体力づくりといった一般的な病気の予防に加えて、自己免疫・自己治癒力に関する研究が盛んに行なわれ、最先端の遺伝子レベルの研究にまで発展しています。
 「病気にならないようにする、予測される病気は未然に防ぐ、仮に病気になったとしても早期に軽度の内に治す。」という予防医学の目的は、二千年前の医学書にある「未病を治す」に通ずるのです。

 さて、ここからが本題というか、私の最も訴えたいところなのですが、歯科に於ける『未病』について述べてみたいと思います。
 歯科医院に来られる患者さんのほとんどの方は、「痛くなったから」「腫れたから」という理由が大多数で、前述の言葉で言えば『病気の状態』になられた方ということになります。
 「痛くなけりゃ誰が好き好んで歯医者なんか行くか!」と言うのは本音でしょうし、そのお気持ちよ〜くわかります。
 しかし、虫歯も歯槽膿漏も立派な?病気であって、しかも初期のうちは自覚症状もほとんど無く、適切な処置を施さない限り体を安静にしていても確実に悪化していくというかなり性質の悪い病気なのです。
 自分は何とも無いとお思いの方でここ何年も歯医者に行ってないという方の大多数は『未病の状態』にあると思って頂いて間違いないと思います。
 『未病』の時期をどう過ごすかで、その病気が重症に陥るか、健康を取り戻せるかがほぼ決まってしまうのです。

 歯医者なんか行きたくない、関わりたくない、そのお気持ちよ〜くわかります。わかりますが、どうか痛くもない、腫れてもいない『未病』のうちに一度歯科医院の門をたたいてみて下さい。

 全く私的な事なんですけど、私の診療所では毎年この季節にスタッフ全員で健康診断と体力測定を兼ねた検診を受けているんですが、ここ何年かは私は『未病の状態』なんですねー。

                                反省反省。(-_-;)



神部先生

 

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