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7.5.2001

No.0103

健口体操

 介護の必要なご老人の居られる特養ホームの方々に、お話を聞く機会がありました。日々の生活の中で、お年寄りの方々が最も楽しみにしていることの一つが「食事」だそうです。ホームでの生活には、もちろん「食事」以外に楽しめるような「活動」が色々あるそうですが、なんと言っても食事は、『生活の充実感』を満たす為には‘第一’とされています。ですから、メニューは手抜きの無いよう心がけられているそうです。
 食事の意味は、空腹感を満たすだけではなく、生きる意味そのものを与えてくれる大きな力を持つ物だそうです。そして、その食事をおいしく頂くために、しっかりお口で咀嚼して、つかえず飲み込めることが大事だそうです。もし、急に、普通にお口で食べることができなくなってしまったら、その人自身の生きる意欲も失わせるほど、大きな事だそうです。
 私たち歯科医師は、今一度「お口から食べる」ことの大切さを見直し、ただ単に虫歯のお医者ではなく、高齢要介護者の方々への更なる細やかな医療干渉を行っていくべきと考えています。
 そこで、いつまでも心地よく美味しく食事をしていただける様に食前に行う【健口体操】をご紹介したいと思います。

 A]姿勢呼吸を整える
  基本は椅子に座って、足を肩幅に開き足裏を床につける。
  できる範囲で、背筋を伸ばし体を真っ直ぐにして、両手をへその位置で重ねる。
  口から息を吐きながら上半身を少し前へ傾ける。
  次いで、鼻から息を吸いながら上半身を元の位置へ戻す。
  3〜5回程行う。
  体の準備ができると共に心の準備ができる。

 B]手指の運動
  左右の手の指の間を、互いに交叉するように軽くぶつけ合う。
  手の甲を軽くたたく。
  10〜20回程行う。
  指や手の刺激は、脳への刺激となり、覚醒を促す。

 C]胸の開閉・大幹のねじり
  5本の手の指を左右互いに組み、組んだ手を反転し前の方へ押し出すながら、腕を伸ばす。
  胸から前方へ出すことで、肩胛骨を開くようにする。
  前へ押し出した両手をそのまま上へ持ち上げる。
  持ち上げた両手を解いて、両手は開きながら両脇へのばす。
  これを2〜3回
  口から息を吐きながら、両腕を胸の前で肘腕を互いに会わせる。
  鼻から息を吸いながら、その両腕を立てたまま左右に開く。
  背筋をそらす。
  最後に両腕を開いたまま、上半身を左右にねじる。
  この運動は、肺の通気機能を向上させ、呼吸に関わる筋肉の筋力低下を防ぐ。
  むせたり痰の絡みを防いでくれます。

 D]首肩のリラクッス
  頷くように首をゆっくり回す。右回転、左回転2回づつ行う。
  前に傾けたまま、左右を見るようにする。
  首や肩の筋肉をほぐすことで、のど通りを良くする。

 E]お口の周りの筋肉のシェイプアップ運動
  『あいうえお』又は『いろはにほへと』を大きなお口を開けて発音する。
  唇もしっかり動かすことが大切です。
  「チュー」の形に唇を突き出す。「ふぐ」の様にほっぺたを膨らます。
  「ひょっとこ」の様にとがらせた口を左右に動かす。
  お口の周りの筋肉を最大に運動させることは、
  ‘食べこぼし’や間違えて唇を噛んでしまうことなどを防止する。

 F]舌顎の総合運動
  舌をお口の外まで出来るだけ出してみる。
  舌を左右上下に動かす。
  舌を上顎にあて‘タン’と音を出してみる。舌打ちの音を出してみる。
  「舌はお口の中の手」と言われています。舌の動きが自由に出来ることは、
   食塊を咀嚼したり飲み込んだりの動きがスムーズになります。

 G]唾液腺顔面のマッサージ
  左右手の指を使い耳の前の部分と頬にあてがいマッサージする。
  そのまま、左右の親指を下あごの内側に押し当てると、唾液が出てくる。
  出てきた唾液をゴクンと飲む。

 以上のように食事の前に毎回数分間「健口体操」をやってみると、以外と食事がよりいっそう美味しく頂けます。 介護なさっている方々も、ご指導の一つに取り入れてみてください。



荻野先生

 

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