9.23.1999

No.0010

噛む

我々人間は日々生活を営なんでいく上で“噛む”という動作が、実は「とっても大切なこと」だということをあらためてお伝えしたいと思います。

人は最初、食物を体に取り入れる為に口の中で食べ物を細かくする行為すなわち“噛む”ことを行います。その行為を「咀嚼」といいます。胃や腸において食物の消化吸収をしやすくする為に大変大事な行為です。加えて、しっかり咀嚼を行うことは、大事な胃腸を傷めないことにもなります。
又、人は食物を取り入れるという目的だけではなく、ガムやするめなど趣向品を味わう為に“噛む”ことを行います。咀嚼行為とは少々意味合いが異なります。この様な場合は特に大脳の活性化を促進させる働きがあります。例えば、ガムを噛むことで‘自動車の運転中の眠気’を覚まさせます。その他、‘興奮を抑えたり’又は‘集中力を高めたり’する為にもガムを噛むという人は少なくはありません。
特異的な例では、寝たきりでいたご老人に丁寧に入れ歯を作って入れてあげたら、それまでは流動食だったのがお口で食事を取れ始め、しまいには一人で歩くことができる程元気になられたという実例があります。

では、“噛む”という動作をより効果的に行うためには、いったい何が大切なのでしょう。それは、個人個人に合った正常に噛む為の道具、つまり「歯,あご骨,筋肉,それをスムーズに指令する神経系,等々」が一人一人に備えられるということです。
専門用語になりますが、それを一言でいうならば“理想的個性正常咬合機能”の確立です。
私はこの確立こそが、私達歯科医師の使命と考えています。読者のみなさまも“噛む”ということが、「如何に大切か」を一緒に考えていただければ幸いと考えます。

荻野先生

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